絵入り版本

室版本にも、絵を伴うものが少なくありません。ここでは、墨で刷った上に筆を用いて彩色を施した本と、色版を用いて多色刷りをした本の例を展示します。

墨刷り彩色本

墨の版で絵の輪郭や黒地部分を刷った上から、筆などで色を付けた本です。江戸時代以降に見られます。

墨刷り彩色本

蛤の草子

蛤の草子

丹緑本たんろくぼん

江戸初期の物語などの版本で、挿絵に丹・緑・黄の色を付けたもの。普通の彩色とは異なり、絵のところどころに色を塗る程度で、対象と色の関係もあまり考慮されていないが、独特の味わいがある。

墨刷り彩色本

名婦伝

名婦伝

合羽刷り本かっぱずりぼん

挿絵の上に、色を塗る部分をくりぬいた型紙を置き、筆や刷毛でその部分を塗って色を付けた本。色版を使わず、多色刷りのような効果を上げられる。江戸中期以降に見られる。

色刷り本

墨の版のほか、何色かの色版を用いて絵を色刷りにした本です。

色刷り本

百さへづり

百さへづり

多色刷り本たしょくずりぼん

複数の色版を用いて絵を印刷した本。江戸中期から現れ、浮世絵系の絵師が関わり、多くの絵本が作られ、錦絵の発達とも交渉を持った。

色刷り本

SCHIPPEITARO(竹篦太郎)

SCHIPPEITARO(竹篦太郎)

ちりめんぼん

明治十八年(1885)から昭和初期にかけて英語など外国語で出版された、日本の昔話や伝説を題材にした小型の絵本。木版多色刷りの挿絵を持つ。紙に縮緬の皺のような加工が施されているので、ちりめん本と呼ばれる。