刊記と広告

版本において、刊行の年月日や版元名などを記載したものが刊記です。末尾のほか、前見返しなどにあることもあります。広告は、版元による出版物の宣伝です。

本体部分末尾の刊記

京童

京童

本体部分末尾の刊記ほんたいぶぶんまつびのかんき

刊記のうち、本体部分の末尾に記載されているものです。冊子本では、最後の丁に余白があればそこに記載されるのが一般的です。

後見返しの刊記

俳家奇人談

俳家奇人談

後見返しの刊記あとみかえしのかんき

冊子本で、後見返しを使って刊記を記載しているものです。この形の刊記を、特に奥付と言うこともあります。

4店の書肆名が並ぶ連名刊記で、その下に横書きで「各同志開版」とある。

前見返しの刊記

飛鳥山十二景詩歌井碑

飛鳥山十二景詩歌井碑

前見返しの刊記まえみかえしのかんき

冊子本の前見返しに記載されている刊記です。刊行の事情などを記した文章はなく、版元名(年月)だけの簡潔な形が普通です。

見返し題「飛鳥山勝景」の左右に、「安政戊午鐫」「清音閣蔵梓」という刊記がある。本書にはほかに刊年や版元等の記載はなく、これが唯一の刊記。

蔵版記・蔵版印

馭戒慨言、毛詩補伝

馭戒慨言、毛詩補伝

蔵版記ぞうはんき蔵版印ぞうはんいん

広義の刊記の一種ですが、蔵版者(出版権を持つ者)を記したものです。蔵版者は、藩や寺社・家塾などが多く見られます。印記になっているものは、蔵版印と言います。

広告

絵本以呂波歌

絵本以呂波歌

広告こうこく

版元による、既刊や近刊の出版物の宣伝です。通常は冊の末尾にあり、刊記に並んでいるもの、独立の丁になっているもの、見返しに貼り込まれているものなどがあります。