料紙・附属事項

和書の本体部分は、通常は紙で作られています。ここでは和書に用いられるさまざまな紙と、料紙に附属する事項について解説します。

料紙

和書のうち、表紙以外の本体部分に使われている紙を料紙(本文料紙)と呼びます。ここでは、和書の料紙の代表的なものを例示します。

料紙

新古今和歌集

新古今和歌集

鳥の子紙とりのこがみ厚様斐紙あつようひし

雁皮の樹皮を材料とする斐紙のうち、厚く漉いたもの。鶏の卵のような色であることから鳥の子紙と言う。楮紙に比べて表面がなめらかである。

料紙

井蛙抄

井蛙抄

薄様斐紙うすようひし

雁皮の樹皮を材料とする斐紙のうち、薄く漉いたもの。鳥の子紙と同じくなめらかであり、透明感がある。

料紙

職原抄

職原抄

楮紙ちょし

楮の樹皮を材料として作られた紙。和書の料紙として最も広く用いられる。産地により、美濃紙・杉原紙などと呼ばれることがある。

上下左右と行間に、墨界がある。

料紙

大宋高僧伝

大宋高僧伝

楮打紙ちょうちがみ

楮紙の表面を木槌などで叩き、斐紙のような光沢と手触りを出したもの。

上下左右と行間に、箆で押して線を引いた押界(白界)がある。

料紙

堀河院百首和歌注

堀河院百首和歌注

斐楮交ぜ漉き紙ひちょまぜすきがみ

雁皮と楮を交ぜて漉いた紙。交ぜる比率の違いにより、手触りなどが異なる。

料紙

荒木田麗女句文

荒木田麗女句文

間合紙まにあいがみ

長さを襖障子の幅(約一メートル)に合わせて漉いた紙が間合紙であるが、斐紙に泥土を交ぜて漉いた泥間合紙が書物にも用いられた。

料紙

袖珍歌枕

袖珍歌枕

三椏紙みつまたがみ

三椏の樹皮を材料にして漉いた紙。江戸中期以降に書物に用いられるようになり、斐紙の代用ともされた。

料紙

天道大福帳

天道大福帳

宿紙しゅくし漉き返し紙すきかえしがみ

反古紙を漉き返して作った紙。墨の成分によって薄墨色を呈する。ただし本来の宿紙のほか、墨を交ぜて漉き、宿紙に似せた紙もある。

その他

その他

丁付ちょうづけ

冊子本において、その丁が何丁目に当たるかを記した数字が丁付です。

その他

職原抄

職原抄

かいけい

写本において、上下や行間を揃えて書くために引かれた線が界(罫)です。版本にも、界を持つものがあります。

その他

名所都鳥

名所都鳥

匡郭きょうかく

版本において、本文の周囲に引かれた枠線を匡郭と言います。線の種類により、単辺・双辺・子持ち枠などと呼びます。

その他

生仏二界不増不減事、水鏡

生仏二界不増不減事、水鏡

紙背文書しはいもんじょ

巻子本・折本や紙を二つ折りにして使う冊子本で、既に何かが書かれていた紙を裏返して用いることがあり、その場合の元の文書を紙背文書と呼びます。