絵入り写本

写本の中には、美しく彩色された多数の絵を持つものがあります。本文とともに、絵を鑑賞することを目的に作られているのでしょう。ここでは、巻子本と冊子本それぞれの例を展示します。

絵巻

物語や説話等を題材に、詞書と絵を交互に貼り継いで巻子本とした絵巻が、平安時代以降多数製作されました。詞書がなく絵のみのものもあり、いずれにしても絵を重視した本と言えます。

絵巻

伴大納言絵詞

伴大納言絵詞

奈良絵巻ならえまき

江戸初期から前期にかけて製作された絵巻のうち、横型奈良絵本のような画風の絵を持ったもの。多くは物語を題材とする。

絵巻

土佐絵巻とさえまき

江戸前期に製作された、物語や軍記などを題材とし、精緻な描法と鮮やかな色遣いを持った絵を持つ絵巻。

絵入り冊子写本

絵巻より年代は遅れますが、絵を多く含む冊子の写本も作られました。その代表的なものが奈良絵本です。

絵入り冊子写本

住吉物語

住吉物語

奈良絵本ならえほん

室町末期から江戸前期にかけて多数製作された、主に物語を題材とした冊子体の絵本。列帖装の縦型本と袋綴の横型本があり、前者の絵は精緻な描法と鮮やかな色違いを持ったものが多く、後者の絵は素朴で親しみやすいものが多い。