伊勢物語 (伝飛鳥井雅親筆本)
2009/11/ 1
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【解題】
1帖 22.9×15.7 [当館請求記号 長谷93-7]
全1冊、 国文学研究資料館蔵(故長谷章久氏旧蔵)
平安時代初期の歌物語。作者未詳。和歌とその詠歌の事情を説明する章段からなる。
現存本の多くは、初冠の段に始まり、辞世の歌の125段に終わる。物語は、在原業平とおぼしき男の一代記の形を取る。伝本は、125段前後の定家本系統、定家本を増補した広本(※)系統、定家本系統より少ない略本(※)の3種類に大別する。現存伝本のほとんどが定家本系統。
展示箇所は奥書。「合多本所用捨也可備證本/近代以狩使事為端之本出来末代/之人今案也更不可用/此物語古人之説不同或稱在中将之/自書或稱伊勢之筆作就彼此有書/落事等上古之人強不可尋其作者/只可翫詞華言葉而已/戸部尚書」と、武田本の奥書がある。
掲出本の伝承筆者である栄雅(飛鳥井雅親)は室町期歌人として有名。応永23年(1416)生~延徳二年(1490)没。
※広本・略本 基準として認めた本を上回る章段数、文章量を有する本を広本といい、下回る本を略本という。