大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館

館長あいさつ

2021kancho_new-1.jpg ようこそ、国文学研究資料館へ。
 当館は、1972年に創設されました。来年で設立50 周年を迎え、半世紀近い間、日本文学および関連領域の研究に寄与してきたことになります。国文学研究資料館が、準備期間を経て閲覧サービスを開始したのは、1977年の7月でした。個人的な記憶を掘り起こせば、その翌年大学の国文学科に進学した私は、先輩に促されるままに、当時戸越(東京都品川区)の地にあったこの資料館を訪れ、手に入れるのに四苦八苦していた文献や資料を苦もなく閲覧することができ、しかも複写までしてもらえることに驚いたものでした。爾来四十余年、国文学研究資料館の提供する資料の範囲は飛躍的に拡大し、サービスの質も格段に向上しました。各種データベースの充実も目を瞠るものがあります。新型コロナウィルスが私たちの生活を脅かし、調査や資料収集に大きな制限が加わった昨年からの状況の中で、これら各種のデータベースはこれまでにないほどの有効性を発揮いたしました。
 こうしたデータベースの中でも、とくに「新日本古典籍総合データベース」は柱となるものです。当館が中心となって2014年度より推進している「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」(歴史的典籍NW事業)によって生み出されました。本計画は、国内外の研究機関と連携しつつ30万点の画像データを作成し、それとともに国際共同研究を推進しています。さらに、本事業の後継計画として、文部科学省のロードマップ2020に採択された「データ駆動による課題解決型人文学の創成」も着々と準備が進められています。蓄積した大量のデータの活用を通して、異分野とも協力し合って国際展開することを目指しています。国内・国外を問わぬ研究者どうしのネットワークを形成し共同研究を進めていくのも、私たちの大きな仕事となっています。
 去る2020年11月1日には、国内外58 機関の参加を得て、「日本古典籍研究国際コンソーシアム」を発足させました(参加機関は2021年3月31日現在で78)。日本古典籍を対象として、オンラインでの活動をベースとしつつ、人材の育成や研究情報の共有、データベースに関する意見交換など、参加機関が協働する場をともに作り上げていくことを目指しています。
 もとよりどのような情報であれ、使うのは人間であり、それを咀嚼し、自らの知性の糧とするのも人です。宝の持ち腐れでは意味はありません。そもそも情報の海に溺れないためにはどうしたらよいか、多様な価値観の中でどのように生きたらよいのか、それを教えてくれるのが古典です。いまだ知られていない古い資料・文献を発掘し、公開したうえで現代に甦らせ、その価値を共有しうるよう示していく。古典籍に関わる者に課せられたその使命を、私たちは先頭を切って果たしていきたいと願っています。

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