光源氏系図 (ひかるげんじけいず)
2008/7/ 1
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【解題】
[当館貴重書 99-123]
巻子本 1軸。 縦34.0センチ、全長521.1センチ。
紙継ぎ:21紙(各紙の寸法はまちまち)。
料紙:墨流し楮紙。
表紙:茶色地花紋銀襴。後補。
外題:「光源氏系図」。後補。
極め札:「二條家〈為氏卿/源氏之系図〉一巻(守村)」「源氏物語系図〈二條家為氏卿〉(牛庵)」
鎌倉時代末期ごろ写。
『源氏物語』の作中人物を系図に仕立てたもの。"源氏物語古系図〈こけいず〉"と称されるものの一伝本である。のべ162名の作中人物を、略歴とともに掲載している(数え方によって増減あり)。序文・系図不載人物一覧・奥書などは、一切ない。
"源氏物語古系図"としては、これまで、30数本の伝本が報告されているが(池田亀鑑『源氏物語大成 研究資料篇』、常磐井和子『源氏物語古系図の研究』等参照)、本書は、新出の伝本であるのみならず、巣守巻関係の人物を最も多く記載した最古の文献として、資料的価値がきわめて高い。
巣守〈すもり〉巻は、現在、一写本さえ伝存していないが、"源氏物語古系図"の諸本や"源氏物語歌集"の古筆切の中に、断片的に伝えられている物語である。本書には、朱雀院の女四宮、源三位、頭中将、巣守三位、内侍典侍、大納言、源三位の今の上、一品の宮の宣旨、帥中納言上、帥中納言、少将の上、蔵人弁の上、三河守、少納言、左京大夫、阿闍梨、左京尼といった人物名とその略歴が記されており、巣守巻の復元資料としてきわめて貴重。巣守巻は、宇治十帖と重なる時期を扱った物語で、巣守の三位という女君が、匂宮および薫と恋愛関係になり、薫の子を産むも、匂宮に言い寄られ、宇治山に身を隠す、という物語であったと推定される。