白描淡彩源氏物語絵 (はくびょうたんさいげんじものがたりえ)
2008/5/ 1
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【解題】
[当館請求記号 ユ3-145]
色紙型の源氏絵(17.3×17.0センチ)と、それに対応する詞書(17.3×17.0センチ)を、左右に貼り合わせたもの。計54枚。
白描に淡彩を施した、典雅な源氏絵である。画帖に貼られていたものが、屏風に貼り直された時期があったとおぼしく、表面が煤けたり剥げたりしているのが惜しまれる。
こうした白描淡彩の源氏絵は、江戸時代にしばしば制作されており、チェスタービーティーライブラィ蔵の画帖や、石山寺蔵の画帖、白鶴美術館の画帖など、優品が多い。(『白描絵』和泉市久保惣記念美術館・1992年、『九曜文庫蔵源氏物語扇面画帖』勉誠出版・2007年 等参照)
画像1枚目は、「空蝉〈うつせみ〉」巻の1場面。暑い夜、碁を打っている空蝉と軒端の荻〈のきばのおぎ〉を、光源氏がのぞき見しているくだり。画像2枚目は、「夕顔〈ゆうがお〉」巻の1場面。夕顔の花咲く屋敷の女主人から、光源氏のもとへ、扇に載せた花と手紙が届けられるくだり。扇を受け取っているのは、光源氏の腹心惟光〈これみつ〉。