源氏小鏡 (げんじこかがみ)
2007/11/ 1
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【解題】
[請求記号サ4-84]
室町末期写
列帖装2帖
縦23.9×横18.0センチ
原装布表紙(唐草紋様)
料紙は厚手の斐紙
上冊7括り・下冊6括りからなる列帖装。
上冊は、墨付き55丁、桐壺巻から朝顔巻までを収め、下冊は、墨付き70丁、乙女巻から宇治十帖までを収める。
一面9行書き。全丁にわたって、朱筆による振り仮名や合点などが付されている。
両冊の見返しに絹が貼られ、それぞれ枯淡な彩色画が描かれているのが特徴(計4面、春・夏・秋・冬の景を描く)。
また、上冊見返しに貼付された極札には、「後柏原院卿内侍 源氏小鏡[守村]」とあり、箱書には、「後柏原院卿内侍筆 源氏小鑑 二冊」とある。
外題はなく、巻頭目録に「ひかる源氏のもくろくの次第」とあるのみ。序文・跋文・奥書などは存在しない。収載歌数は102首。諸本と比校するに、本書は、『源氏小鏡』梗概本系の一種かと目される。
『源氏小鏡』は、南北朝期に成った『源氏物語』のダイジェスト本。歌人や連歌師などがハンドブックとして用いた。多種の伝本が各地に存し、当館にも、本書の他に、増補本系の一本(貴重書99-1)や、数種の版本・新写本が蔵されている。岩坪健編『『源氏小鏡』諸本集成』参照。