小男の草子 (こおとこのそうし)
2007/10/ 1
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【解題】
[請求記号99・119]
延宝・貞享(1673-1687)頃写
巻子本1軸
1紙:17.2センチ×48.0センチ前後
全21紙継
全長:1010センチ
奈良絵6図所収
1図:17.2センチ×26.0センチ前後
金襴緞子表紙(緑地、花蝶模様)
外題欠
内題「小おとこ」
室町時代に成ったお伽草子。都に上って来た丈一尺ばかりの小男が、清水寺の縁日で美しい女性を見そめ、大和言葉による謎かけの手紙を贈ったり、当意即妙の和歌を詠じたりし、ついには女性と結ばれ、一家繁栄した、......というお話。『一寸法師』や『物くさ太郎』などと関連する作品。庶民物/歌徳説話/難題婚譚。
本書は、清水泰氏旧蔵本(『室町時代物語集5』に翻刻が載る)。平成18年度、当館所蔵となった。『小男の草子』諸本の中にあっては、甲類に分類されている(松本隆信『中世における本地物の研究』参照)が、他の甲類本と異なり、小男が五条天神となって顕れる結末部を持たない。
なお、『室町時代物語集5』では、小男を発見した女房の台詞を「これはすて人やらん」と翻刻しているが、本書で確認すると「これはさて人やらん」と書かれている等、わずかながら注意を要する箇所がある。
奈良絵は、衣装の文様や調度品まで精緻に描き込まれており、保存状態も良い。詞書の料紙には、金による下絵(松など)が描かれ、金箔が撒かれている。
なお、本書が収められた箱の蓋裏には、詞書を「西冷泉為祐筆」、絵を「並河光敬画」とする極め書がある。