古今和歌集 (こきんわかしゅう)
2007/4/ 1
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【解題】
[請求記号 99・2]
永正16年4月写
列帖装 2帖
25・6×19・2センチ
『古今和歌集』は、905年~に醍醐天皇の命によって編纂された最初の勅撰和歌集。画像2枚目は仮名序冒頭、「やまとうたは 人のこゝろをたねとして よろづのことのはとぞなれりける ......」と、和歌の起源が語り起こされている。
掲出本は、下帖末尾に、
藤原定家のいわゆる嘉禄2年(1226)四月本の本奥書
藤原為家の伝領奥書
「宗清」すなわち上冷泉為広の加証奥書
の3つの奥書を備える。
これらによって、掲出本の『古今和歌集』は、正親町三条実望の懇望によって、永正16年(1519)4月、上冷泉為広が、冷泉家伝来の定家自筆嘉禄2年本を、息子為和に書写させたものであることが判明する。
『冷泉家時雨亭叢書』第2巻(朝日新聞社)所収の定家自筆本『古今和歌集』と比較してみると、一行の字数と一面の行数をこそ違えるものの、本文・用字・筆蹟・声点・朱合点・傍書など、掲出本がかなり忠実に再現していることが知られる。冷泉家に秘蔵されていた定家自筆本の転写の事実とその事情を具体的に伝えており貴重。
なお、各帖に「青谿書屋」(大島雅太郎)「月明荘」(反町茂雄)の朱方印あり。また古筆本家二代目了栄の極札・二代目畠山牛庵の折紙等が附属する。
※本図版と解題は、人間文化研究機構連携展示図録『うたのちから─古今集・新古今集の世界─』(国文学研究資料館・2005年)に収載されています。