室町中期連歌学書 (むろまちちゅうきれんががくしょ)
2006/12/ 1
作品の全画像を見る
【解題】
[当館請求番号 99・111]
室町中期写
列帖装 1帖
23・7×17・4センチ
正式な書名は不明であるが、連歌の付合の参考とするために、古詩・古歌を部類したものである。(『室町中期連歌学書』は仮題です。)冒頭には「天象并地儀」とあり、以下樹木・草花・鳥・獣・魚・虫の部があり、各部に小項目を立てて、詩歌を排列する。
寄合となるべき語に合点〈がてん〉、上欄に出典を注し、まま注釈に及ぶ。
『修茂寄合〈しゅうもよりあい〉』など同類の書は当時いくつか編まれているが、本書は寄合として『源氏物語』の地の文や『古今集』仮名序といった散文をも挙げていること、出典には、「源氏桜人巻」(画像掲出部分)・「御作」(菅家御集〈かんけぎょしゅう〉)・「亀鏡集〈ききょうしゅう〉」など珍しいものが見えること、などが特色である。単に新出の連歌史資料であるばかりでなく、室町期学問の動態を知り得る意義深い学書である。
※本書の図版と解題は、人間文化研究機構連携展示図録『うたのちから─古今集・新古今集の世界─』(国文学研究資料館・2005年)に収録されています。