大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館

2018/2/13

刀剣に関する本

 次は、刀剣に関する本を見てみましょう。
 刀剣は、それを所持していた歴史上の有名な武将、刀鍛冶にまつわる、様々な伝承や伝来エピソードを持っています。
 また、鍛え抜かれた刀身の冴えた美しさや、意匠を凝らした刀装具は、美術品としての魅力も備えています。
 刀剣に関する本も色々とありますが、ここでは天保14年(1843)に出版された栗原信充作『刀剣図考(とうけんずこう)』を見てみましょう。

manabu02_img01.jpg国文学研究資料館蔵『刀剣図考』(ラ8-12)
※新日本古典籍総合データベースでご覧いただけます。

 この図は、小烏丸という太刀の絵と解説です。平家重代の名宝と呼ばれる太刀で、平清盛も所持していたそうです。 江戸時代には、平家の流れをくむ伊勢家に伝来し、その後、明治天皇に献上され、現在では宮内庁に所蔵されています。

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 この図は、鬼丸(おにまる)という銘をもつ太刀です。鬼丸とは、もともと髭切(ひげきり)と名づけられていましたが、源頼光(みなもとのらいこう)が配下の渡辺綱(わたなべのつな)に貸し出したところ、綱がこの刀で、一条戻り橋で鬼の右腕を切り落としたことから、鬼丸と呼ばれるようになりました。
 『平家物語』の「剣の巻」には、この鬼丸に関するエピソードが詳しく記されています。

 江戸時代も、刀剣に対する関心は高かったのです。現代のように、写真が無く、また展覧会などで実物を目にする機会の無かった時代、人々はこうした本によって、伝説の名刀のすがたをしのんだのでしょう。

 料理やファッション、旅行、遊びなどの楽しいものから、園芸、武術、医学、政治......
 今の時代にも活かせる、あらゆる分野の情報が、昔の本には詰まっているのです。
 関心のある分野の古典籍をひもとき、昔の人々の残した知識や知恵にぜひ触れて下さい。

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