大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館

地方協創によるアーカイブズ保全・活用システム構築に関する研究

facebook_tihoukyousou.png研究の概要
研究組織
研究会・シンポジウム

研究の概要

 少子高齢化の進行と相俟って地域社会の衰弱が著しく、地域で継承されてきた民間所在資料が危機に瀕しており、アーカイブズ学としても緊急に対策が求められている。本研究は、地域社会の持続に資し、地域住民とともに研究者や資料保存機関、行政が地域のアーカイブズを保全・活用する方法論を考案するため、地方国立大学で推進されている「産学協創」に着目し、アーカイブズ学を地域貢献に結び付ける新たな研究の地平を目指す。

 具体的には長野市松代地域を中心として北信地方を挙げたい。北信地方は、都市圏である長野市を中心としつつ、「平成の大合併」を受けずに北信広域連合を構成する中小規模の自治体が多い。しかし、地域住民と研究者とで民間所在資料の保全・活用を進め、栄村歴史文化館「こらっせ」を開館した栄村のように、協創関係による地域持続を見据えた先進例もある。

 他方、長野市松代は近世松代藩の系譜をひく城下町であるが、長野五輪後の高速交通網整備、長野電鉄屋代線廃線によって衰退が著しい。しかし、真田宝物館の文書・典籍・武具などは日本最高水準の大名資料コレクションであり、当館所蔵歴史資料の中で最大である真田家文書は6万点に及んでおり、真田宝物館所蔵真田家文書と当館所蔵文書(真田家文書、松代藩内文書)、及びいまだに松代藩域の民間に遺されている膨大な文化資源を保全・活用することは地域貢献に直結する。

 そこで本共同研究では、地域博物館・図書館・文書館などとともに、住民・学生参加型の資料整理と資料分析を実現する。その場合、当館の収蔵歴史資料データベースに搭載されている画像も活用する。すなわち、館蔵資料を地域資料と結び付けて地域のために活用することを目指す。

 また、地域住民も含めた歴史認識共有フォーラムを開催する。これにより住民の関心を高め、近現代も含む旧家臣団の家文書や商家文書も含めた歴史資料の所在把握を住民と共に進める。なお、当館には松代伊勢町八田家文書が所蔵されており、現在その整理と『史料目録』刊行(現段階で3万点超。最終的には4万点程度)を事業として推し進めており、八田家文書は当館以外に同家の土蔵や長野市立博物館にも保管されているので、ここにも館蔵資料と地域資料を結び付けて活用する可能性が存在している。

 以上の活動は、真田宝物館はもちろんのこと、長野市公文書館・長野市立博物館などのアーキビスト・学芸員と連携して行う。また、当該地域を対象とした研究を進めている大学・大学院の教員・学生とも連携して行うことにより大学・大学院教育にも貢献する。

 さらに、学術的なアーカイブズ学研究としては、組織文書と家・個人文書の関係性というテーマを上記の過程で追求する。従来のアーカイブズ学における文書研究は、出所単位に行われてきた。しかし実態としては、藩という行政組織と家臣の家文書、あるいは町役場文書と町長等就任者個人文書とは、文書の作成・使用・管理・再使用という文書実践の全過程にわたって相互関係性を有することが想定されるため、この関係性に注目したアーカイブズ研究を開始しようとするものである。この研究課題は、前記の学術的研究成果によって自覚されたものである。

以上の過程により、地域住民が自律的に地域アーカイブズを継承・活用し、研究者がそれをサポートし、さらにその過程から研究者が新たな学術的研究課題を追求するという協創関係を構築し、全国的に参照される事例とすることが本研究の目的である。
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研究組織

研究代表者 
西村慎太郎(国文学研究資料館教授)

研究分担者 
白水 智(中央学院大学教授)
西口 正隆(土浦市立博物館学芸員)
原田 和彦(長野市立博物館学芸員)
樋口 明里(長野市立博物館学芸員)
降幡 浩樹(真田宝物館学芸員)
山中さゆり(真田宝物館学芸員)
山本 英二(信州大学教授)
青木 睦 (国文学研究資料館准教授)
大友 一雄(国文学研究資料館名誉教授)
太田 尚宏(国文学研究資料館准教授)
加藤 聖文(国文学研究資料館准教授)
渡辺 浩一(国文学研究資料館教授)


研究会・シンポジウム

2019年6月2日(日)に国文学研究資料館基幹研究「地方協創によるアーカイブズ保全・活用システム構築に関する研究」・人間文化研究機構広領域連携型基幹研究国文研ユニット「人命環境アーカイブズの過去・現在・未来に関する双方向的研究」の合同全体研究会を開催致しました。
内容は以下の通りです。

13:30 開会(渡辺浩一)
13:40 「人命環境アーカイブズの過去・現在・未来に関する双方向的研究」昨年度成果と今年度の予定
・公文書班(15分)
・民間資料班(15分)
・対比班(15分)
14:20 休憩(15分)
14:35 研究報告
・西村慎太郎(国文学研究資料館准教授)「西多摩郡檜原村での地方協創の実践と可能性」
当日配布レジュメ
・白水智(中央学院大学教授)「震災被災地栄村における文化財保全活動をどこまで普遍化できるか」
当日配布レジュメ1当日配布レジュメ2
16:35 各研究グループ話し合い(30分)
17:30 懇親会
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当研究で後援をする地元報告会「請戸の歴史と文化を知る会」が10月27日(日)に開催されました。
詳細は以下のチラシを参照ください。

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第1報告 松下正和氏 当日配布資料
第2報告 泉田邦彦氏 当日配布資料
第3報告 天野真志氏 当日配布資料


2019年12月5日(木)、真田宝物館・長野市立博物館職員をはじめとして、地域の古文書の会の方々27名が当館を訪問し、真田家文書をはじめとして松代藩に関する資料の意見交換を行いました。

当日のタイムスケジュールは以下のとおりです。
11:00 到着
11:10 開会のあいさつ(渡辺浩一教授・研究主幹)
11:20 国文学研究資料館の概要(西村慎太郎准教授)
12:00~13:00 昼食
13:00~13:30 館内案内(藤實久美子教授・西村慎太郎准教授)
13:30~15:30 真田家文書・八田家文書について意見交換
西村慎太郎准教授当日配布レジュメ
藤實久美子教授当日配布レジュメ
15:30 閉会のあいさつ(原田和彦長野市立博物館学芸員)

④新型コロナウイルスの問題が落ち着くまで、基幹研究の調査・研究成果や資料紹介を行います。
調査・研究成果や資料紹介その1

調査・研究成果や資料紹介その2 大崎村の松平越中守の抱屋敷譲渡

調査・研究成果や資料紹介その3 松代藩家老の日記

調査・研究成果や資料紹介その4 松代藩養蚕製糸業を担った糸会所の日記

調査・研究成果や資料紹介その5 松代藩の産物会所に置いてあった道具

調査・研究成果や資料紹介その6 19歳の女性・つた、松代藩真田家に奉公へ行く

調査・研究成果や資料紹介その7 -13歳からの小姓奉公-

調査・研究成果や資料紹介その8 -200年前の今日、8月3日の家老日記-

調査・研究成果や資料紹介その9 -真田幸弘(天真院)の遺品整理の古文書-

調査・研究成果や資料紹介その10 -真田幸弘(天真院)逝去の連絡-

調査・研究成果や資料紹介その11 -松代藩に届いた大塩平八郎の人相書-

調査・研究成果や資料紹介その12 -伊勢御師と松代藩の人びととの争論① 「史料目録」鋭意編集中のなかから-

調査・研究成果や資料紹介その13 -伊勢御師と松代藩の人びととの争論② 「史料目録」鋭意編集中のなかから-

調査・研究成果や資料紹介その14 -伊勢御師と松代藩の人びととの争論③ 「史料目録」鋭意編集中のなかから-

調査・研究成果や資料紹介その15 -伊勢御師と松代藩の人びととの争論④ 「史料目録」鋭意編集中のなかから-

調査・研究成果や資料紹介その16 -202年前の不行跡-

調査・研究成果や資料紹介その17 -300年前、10月12日~18日の松代藩-

調査・研究成果や資料紹介その18 -300年前、10月19日~25日の松代藩-

調査・研究成果や資料紹介その19 -300年前、10月26日~11月1日の松代藩-

調査・研究成果や資料紹介その20 -300年前、11月2日~11月8日の松代藩-

調査・研究成果や資料紹介その21 -300年前、11月9日~11月15日の松代藩-

調査・研究成果や資料紹介その22 -300年前、11月16日~11月22日の松代藩-

調査・研究成果や資料紹介その23 -300年前、11月23日~11月28日の松代藩-

調査・研究成果や資料紹介その24 -300年前、12月5日~11日の松代藩-

調査・研究成果や資料紹介その25 -300年前、12月12日~18日の松代藩-

調査・研究成果や資料紹介その26 -真田家の洋書-

調査・研究成果や資料紹介その27 -真田家江戸屋敷の台風被害-

調査・研究成果や資料紹介その28 -江戸の出火とその書抜-

調査・研究成果や資料紹介その29 -江戸城での老中の役割-

調査・研究成果や資料紹介その30 -真田家文書に見る幕府の文書管理-

調査・研究成果や資料紹介その31 -真田家文書に見る幕府のオランダ貿易縮小-

調査・研究成果や資料紹介その32 -徳川将軍の墓の近くの火事-

調査・研究成果や資料紹介その33 -風邪をひいた老中水野忠邦-

調査・研究成果や資料紹介その34 -御城将棋・御城碁-

調査・研究成果や資料紹介その35 -火事と産穢・忌中-

調査・研究成果や資料紹介その36-江戸城内で足袋を履くことについて-

調査・研究成果や資料紹介その37 -ロシア船渡来-

調査・研究成果や資料紹介その38-大名の献上品-

調査・研究成果や資料紹介その39-相馬藩の献上品-

調査・研究成果や資料紹介その40-18世紀中ごろの八田家の家族と奉公人-

調査・研究成果や資料紹介その41-松代商法社-

調査・研究成果や資料紹介その42-世直し一揆での処刑-

調査・研究成果や資料紹介その43-「御日記類集」と御台所の妹の死去-

調査・研究成果や資料紹介その44-商家の奉公人たちの食事時①-

調査・研究成果や資料紹介その45-商家の奉公人たちの食事時②-

調査・研究成果や資料紹介その46-商家の奉公人たちの食事時③-

調査・研究成果や資料紹介その47-高輪の町の中にあった松代藩邸-

調査・研究成果や資料紹介その48-抱屋敷で「異変」があっても-

調査・研究成果や資料紹介その49-抱屋敷内への触の徹底-

調査・研究成果や資料紹介その50 -相馬中村藩家老の手紙-