Greeting

ご挨拶

創立50周年を迎えて

国文学研究資料館 館長 渡部 泰明

国文学研究資料館 館長 渡部 泰明

国文学研究資料館 館長 渡部 泰明

 国文学研究資料館の創立50周年にあたりまして、ご挨拶を申し上げます。このたび皆様の温かいご支援によって、式典や講演会、展示等さまざまな記念の行事を執り行うことができましたことに、心より御礼申し上げます。
 当館は、50年前に設立されました。日本の古典に関わる資料を収集・保存し、文化資源として将来にわたって活用できるようにすることを目的とし、基幹事業である文献資料の調査・収集を実施するとともに、収集した資料による共同研究を推進するなど、日本文学およびその関連領域の中核的な拠点研究機関としての役割を果たして参りました。
 2014年度から2023年度までの10年間の計画である「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」において、当館が中心となり、国内外の大学、研究機関と連携して、古典籍約30万点の全冊画像化を行い、研究基盤として「新日本古典籍総合データベース」を作り、その画像データを用いて国際的な共同研究のネットワークの構築を進めました。
 さらに、本2022年度からは、館内に古典籍データ駆動研究センターを設置し、「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」の後継計画である「データ駆動による課題解決型人文学の創成」プロジェクトへと動き出しました。日本の古典遺産をあらゆる人に向けて開き、自由かつ有効に利活用してもらえるようにし、新たな人文学の誕生に寄与することを願っています。
 50年前といえば、大学の意味、研究の持つ意味が、激しいほどに問われていた時代にほかなりません。当館の設立もそれと無関係であったはずがありません。学問を、研究資源や研究方法を含めて、広く研究者に、市民に、そして世界に開かれたものにするという当館の志は、結果的に、学問の社会的な意義とは何ぞやという問いに答えていこうとしたものであった、ということができるでしょう。もちろん、その問いへの答えは、ますます厳しく問われています。そして折しもデジタル化の時代を迎えたことによって、社会に向けて開いていくという私どもの理想はいっそう明確に実現されていくことと確信しております。
 当館設立10周年を記念して発行された『十年の歩み』という冊子の中で、勇退されたばかりの市古貞次初代館長は、インタビューの終わりにこう述べられています。摘記すると、「みんなの力で建てたということが原点で、国の内外を問わずあらゆる日本文学の研究者の利用に供するということ、これはやはり皆さんの念頭に置いていただきたいと思います」「また利用だけじゃなくて資料の提供についても必要があると思うので、国文学者全体の協力で、この資料館を大きく育てていってほしいと思います。館内の人はそういう国文学界の総意を受けて実際的に処理するのだ、そして一緒に壮大な国文学の殿堂を築くのだという考えで、これからの難局を切り抜けていただきたいと思いますね」。その志を、改めて胸に刻みたいと思います。
 最後に御視聴の皆様に今後とも相変わらぬ御指導、御支援をお願い申し上げ、御挨拶といたします。