プロジェクト成果論文集
『バチカン図書館所蔵 マリオ・マレガ資料の総合的研究』
2011年、バチカン図書館で発見されたマリオ・マレガ資料群は、臼杵藩宗門方役所をはじめとするキリシタン・類族関係資料、およびマレガ本人の研究資料群などによって構成され歴史文化的な学術価値は極めて高い。本書は、資料を生かし、その可能性を広く人々に伝えるための情報資源化の取り組みのなかで自覚された諸課題についての研究成果を広く発信するためにまとめられた。
第1部はマレガ資料群の情報資源化とマレガ神父研究、第2部は豊後キリシタン・類族文書の研究に関する成果で構成した。両者は双方向的な関係にあり、それぞれの研究の進展によって、さらなる研究展開が期待される。本書はその第一歩となる。
編 者 大友一雄・太田尚宏
発 行 マレガ・プロジェクト(国文学研究資料館)
2022年2月18日
ISBN978-4-87592-207-0

序章 ―本書の狙いと論文紹介―
大友一雄
第1部 マレガ資料群の情報資源化とマレガ神父研究
- バチカン図書館所蔵マレガ資料群の伝来について
デリオ・ヴァニア・プロヴェルビオ /訳:原田亜希子・渡辺千鶴 - マレガ資料群の調査・保存と情報資源化
青木 睦・太田尚宏・大友一雄 - マレガ・プロジェクトにおける日本の古文書の調査方法について
アンヘラ・ヌーニェス=ガイタン /訳:湯上 良 - バチカン図書館マリオ・マレガ資料群の全体構造
大友一雄 - 豊後キリシタンの跡をたどるマリオ・マレガ神父
―マレガ文書群の成立過程とその背景―
シルヴィオ・ヴィータ - マリオ・マレガの執筆活動とその「文脈」
シルヴィオ・ヴィータ - 宣教師によるキリシタン統制文書群の収集と整理 ―マレガ目録の分析から―
高見 純 - マリオ・マレガのキリシタン史跡調査 ―1937〜38 年―
田中 裕介 - サレジオ大学図書館所蔵マレガ関連資料に見るマレガによる研究と資料保護
湯上 良
第2部 豊後キリシタン・類族文書の研究
- 臼杵藩におけるキリシタン禁制政策と民衆統制
佐藤晃洋 - 寛永12年の「南蛮誓詞」と臼杵藩のキリシタン禁制
大津祐司 - 豊後崩れと類族改制度
大橋幸泰 - 臼杵藩宗門方役所とキリシタン統制
三野行徳 - 臼杵藩宗門方役所における文書管理の諸相 ―収納袋・端裏書・保存形態に着目して―
太田尚宏 - 近世武家社会とキリシタン統制 ―臼杵藩家中の類族を考える―
三野行徳 - キリシタン類族改制度と村社会 ―臼杵藩の場合―
大橋幸泰 - 豊後臼杵藩の村社会における女性類族の婚姻状況をめぐって
清水有子 - 豊後諸藩における類族制度の展開
佐藤晃洋 - 臼杵藩のキリシタン禁制と寺院
櫻井成昭 - 豊後国大野郡野津における寺院と類族
村井早苗 - 明治初年のキリシタン統制に関する一考察 ―宗門改を中心に―
宮間純一 - 臼杵藩におけるキリシタンの数と分布
平井義人