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[No. 68 トピックス]特別報告会 近世土佐の知の宝庫―山内文庫を読み解く―

齋藤 真麻理

2025 年6 月22 日(日)、高知県立高知城歴史博物館において特別報告会「国文学研究資料館 山内文庫調査完了記念 近世土佐の知の宝庫―山内文庫を読み解く―」が開催されました(同館主催・国文研共催)。同文庫は土佐藩主山内家と、藩の学者谷家の蔵書からなる約2万冊のコレクションで、国文研は1977年から調査を開始、別に山内家に伝来した手鑑の名品や絵巻等も加え、2024年に撮影・画像公開を完了。大名家の奥深いふみくらを前に半世紀を要したことになります。報告会は調査を担当下さった先生方を講師に迎え、会場は満席となりました。学芸員の田井東浩平氏の概要紹介に続き、同文庫の調査収集を担当した齋藤はその経緯と住吉広長筆『源氏物語画帖』や『六條物語』『手枕』等を解説、田野慎二氏は第13 代藩主豊凞と大名衆や奥方達の交流が窺える『百人一首御手鑑』、大名衆の詠と狩野養信の歌意絵をもつ『六玉川』を講じ、古瀨雅義氏は谷家蔵『清少納言松島日記』『紫式部集』から文庫形成史を振り返りました。目黒将史氏は土佐藩士、小谷守本らの学問成果と武家の教養を『軍用記』『後三年合戦絵巻』に見出し、西本寮子氏は谷真潮が山岡浚明の校勘本を借用書写し、注釈を加えた『うつほ物語』から谷家三代の営為を講じられました。報告会は山内文庫の魅力と、文献調査の意義を広く知って頂く機会となりました。事業が達成できたのは、文化資源を確かに後世に伝えようという志を多くの方々がともにして下さったからにほかなりません。お力添え下さったすべての皆様に心から御礼申し上げます。