《報告》「歴史的典籍オープンデータワークショップ~古典をつかって何ができるか!じんもんそん2015~」グループ成果まとめ
国文学研究資料館は2015年12月18日に 「歴史的典籍オープンデータワークショップ~古典をつかって何ができるか!
じんもんそん2015~」を開催しました。館蔵資料の画像データと書誌データ約350点(全冊約6万4千コマ)を国立情報学研究所(NII)のご協力のもと、同研究所の「情報学研究データリポジトリ」より、データセットとして公開し、アイデアソンではこのオープンデータを活用しました。
このほど、アイデアソンで交わされたグループの意見をまとめましたので、ご報告いたします。このアイデアを実現できるよう、資料館では現在活動中です!

日時 | 2015年12月18日(金) |
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場所 | メルパルク京都 |
参加者数 | 45人 |
主催 | 人間文化研究機構 国文学研究資料館 |
共催 | 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 |
後援 | 情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会 日本デジタル・ヒューマニティーズ学会 |

【国文研 ムネモシュネアトラスの構築】
国文研で提供される画像について、ユーザが自由に抽出、加工、編集できるような仕組みも提供する。またそれに書誌情報なども付加することで、新しい「博物図譜」をウェブ上に作っていってはどうか。
グループ№2の発表
【電車アプリ等の開発、昔の料理の復元】
電車に乗っているとき、そのあたりの場所が明治より以前はどのような場所だったかが分かる車内アプリの開発。古典籍や古地図に残された情報から、当時どのような場所だったかを復元する。電車内広告の画面に復元した当時の場所の風景を表示し、当時の場所を電車で走行する擬似体験ができるようにする。スマホを片手に、当時の土地を感じながら散策ができるアプリの開発を考えたが、歩きスマホはよくない行為であること、また復元して表示させても現在そこを歩くことができるかどうかは分からないので、電車内アプリにした。

グループ№3の発表
【古典籍画像データバンクの構築】
古典籍画像データベースを構築し、絵で遊べる画像の宝庫を作る。データベースの画像を身近なものに利活用する例として、この時期であれば年賀状に使用する絵柄等が挙げられる。更に、古典籍の挿絵の魅力を認識し、画像を楽しむことのできるデータベースを構築し、多目的に使うことを考える。例えば古典籍の絵からキャラクターを作り、ゲーム、アプリ、LINEスタンプ、また介護にも利用できる塗り絵などを作成し公開していく。また、画像を実際に使った人が感想や意見をあげることのできる「年賀状を作ってみたレポ」などのサイトも用意し、さらなる普及をはかる。

なお、古典籍のデータベースから絵の画像を利用するには、タグ付けが前提であり、画像からの絵の切り出し、タグ付けなどは全てソーシャルで行ったらよいのではないか。もちろん断片的な画像であっても、クリックすると資料の本編とリンクしているようにするなどの工夫を行う。
グループ№4の発表
【くずし字掲示板の提供】
古典籍を実際に目にすると「面白そう!」とは思うが、なかなか読むことができない。そこで、くずし字が読める人と読めない人を繋ぐ仕組みづくりが必要と考えた。具体的にはくずし字が読める人に質問ができる「掲示板」を作成してはどうか。

またそれらの結果として、古典籍の翻刻テキストデータが出来上がった場合は、全てオープンデータとして提供していくことにする。そうやってテキストデータが付加された古典籍の画像が増えることにより検索がしやすくなり、古典籍を知る機会が増えると考えられる。なおテキストデータは、Wikiのように皆が編集できるようにしてはどうか。
グループ№5の発表
【画像検索と関連画像のリンク構成】
古典籍の画像に関する様々な課題について話し合ったが、画像データの量が増えると逆にアクセスしにくくなることもあるという点が問題となった。必要な情報を直感的に得ることができる方法、既知のキーワードに拠らない検索の手法が必要だろう。検索のためのプラットホームとしてどのようなものがよいか?という点について考えた。

ショッピングサイトのように、ある画像を表示すると関連して検索された画像が提案されるようなものも便利だが、情報の統制や誘導につながってしまうので、研究利用を目的としたデータベースの機能としては問題があるだろう、といった点についても議論した。
グループ№6の発表
【江戸レシピの”つくれぽ”作成】
江戸時代の料理本に書かれているものを復元する試み。江戸時代の料理本は、正確な分量等を記載していないことも多い。だからこそ、その記述から、現代においていろいろな料理が出来上がる可能性もある。一般の人に江戸料理本をもとにした料理を実際に作ってもらい、そのレシピや作ってみた感想などのレポートをウェブにあげてもらう。そこから、様々な料理の可能性を追求ができればと考えた。これは、古典の料理を元の通りに復元するのではなく、現代に活かす取り組みと言える。

グループ№7の発表
【古典籍に描かれた文化を体験してみよう】

TDLの裏作業としては、絵の切り出しなど、ディープラーニングによる自動化とともに様々な人手が必要になってくるので、そこはクラウドソーシングで実現できればと思う。
グループ№8の発表
【料理通 江戸のレシピで クラウド翻刻】

また古典籍の読解が進み、そこに書かれた料理や食材の情報などを分析することで、当時の気候について何か分かってくるかもしれない、という可能性も考えた。



