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[No. 68 トピックス]資料保全の輪を広げていくために―ぼうさいこくたい 2025 参加記―

国立歴史民俗博物館特任准教授 小野塚 航一

国立歴史民俗博物館を主導機関とする人間文化研究機構ネットワーク型基幹研究プロジェクト「歴史文化資料保全の大学・共同利用機関ネットワーク事業」は、阪神・淡路大震災以降、各地に広がりを見せた歴史資料保全活動への支援と連携を通して、地域社会との協働・共創を実現し、地域と歴史文化の多様な関係を社会全体に向けて発信することを目的とした取り組みです。2017年度にスタートした本事業では、これまで各地の大学・博物館・地域住民などと協働しながら、さまざまな活動を展開してきました。資料の保存や継承の意義をより多くの人々に知ってもらうため、2019年からは内閣府などが主催する国内最大級の総合防災イベント「ぼうさいこくたい(防災推進国民大会 ぼうさいすいしんこくみんたいかい)」にブース出展し、事業の紹介と啓発を行っています。

本年度のぼうさいこくたいは、2025年9月6日(土)・7日(日)の2日間、新潟県の朱鷺(とき)メッセ新潟コンベンションセンターで開催されました。10回目の節目となる今回は、過去最多となる約470団体が参加し、来場者も延べ約1万 9千人に達するなど、過去最大規模の大会となりました。

本事業のブースでは、能登半島地震などの被災地で実施された資料レスキューの様子を紹介するポスターを掲示し、資料保全活動を初めて知る方にも事業の目的や内容を分かりやすく伝えられるよう工夫しました。また、新たな試みとして、同じ人間文化研究機構の広領域連携型基幹研究プロジェクトである、国文学研究資料館ユニット「人口減少地域におけるアーカイブズと歴史文化の再構築」研究チームによる「原子力災害被災地域の歴史資料の保全と地域自治体・住民との共有」ブースを隣に配置し、両事業が連携して来訪者に資料保全の重要性を伝えました。

今回は残念ながら離れた場所での出展となりましたが、国立文化財機構文化財防災(こくりつぶんかざいきこうぶんかざいぼうさい)センターのブースでも資料保全の取り組みが紹介されました。災害の頻発化・激甚化、そして過疎化と少子化が進む今日、地域の歴史文化を伝える資料を守り、後世へ継承していくことの意義はいっそう高まっています。今後も関係機関と協力しながら、資料保全の大切さを広く発信していきたいと考えております。