《報告》【速報】「歴史的典籍オープンデータワークショップ~使いたおそう!古典籍データ~」を開催しました!


   先日12月9日(金)に、「人文科学とコンピュータシンポジウム じんもんこん 2016の企画セッションとして、「歴史的典籍オープンデータワークショップ~使いたおそう!古典籍データ~」を当館にて開催しました。これは昨年京都で開催した同ワークショップに続くもので、国文研が開催する第2回目のアイデアソンです。今回のワークショップ参加者は合計36名でした。また本イベントは、以下の機関との共催で実施しました。
    <本ワークショップの共催機関>
  • 情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会
  • 人間文化研究機構 国立国語研究所
  • 国立国会図書館
  • 情報・システム研究機構 国立情報学研究所
  • 情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設




   第1部「歴史的典籍オープンデータを知る」は、当館の古典籍共同研究事業センター副センター長の山本和明による趣旨説明から始まり、まず同センター事務室古典籍データベース係長の中村美里から「日本古典籍データセット」の概要と主な作品の紹介を行い、続いて同センター特任助教の松田訓典から、自身が開発した画像へのタグ付けシステムの紹介を行いました。次に国立情報学研究所准教授兼人文学オープンデータ共同利用センター準備室長である北本朝展先生から、「日本古典籍字形データセット」「江戸料理レシピデータセット」の説明があり、古典籍データの活用を考えるヒントを多くいただきました。続いて、人文情報学研究所の永崎研宣氏から、データの活用事例として画像に付与されたタグの効果的な見せ方や検索手法などについて紹介いただきました。最後に国立国会図書館電子情報部電子情報流通課標準化推進係の橋詰秋子係長から、国立国会図書館デジタルコレクションの紹介と、国文研で公開しているデータセットとの連携に関する提案をいただきました。

   第2部は、昨年に続き国立情報学研究所准教授の大向一輝先生をコーディネーターに迎え、第1部の内容を踏まえつつ「歴史的典籍アイデアソン」を実施しました。今回も敢えて明確なテーマを設けず、「古典籍データの活用法とは?」「どういうことに古典籍のデータが使えるか?」ということについて自由にグループディスカッションを行ってもらいました。
   どのグループもまずは自己紹介から始まり、そこから先は自由なアイデア出しが行われ、みるみるうちに付箋紙や模造紙に多くのアイデアが書き出されていくという、活発な議論が行われていました。
   ディスカッション後は各グループ2分間の成果発表が行われ、『源氏物語』をベースにした観光アプリケーション開発、音声情報も含んだ目と耳でくずし字を学べる学習ツールの作成、字形データセットを使ったスマホゲームの考案など、多彩なアイデアが発表されました。
   今回のワークショップで出されたアイデアを全て実現することはできませんが、前回出された「江戸料理の再現」というアイデアが「江戸料理レシピデータセット」の公開に繋がったように、何か一つでもここで出されたアイデアが実現化したり、あるいは今回のワークショップを契機に古典籍データの活用が一層進めばと考えています。
   当館では、これからも古典籍に関する様々なイベントを開催していきますので、今後も当館イベントに是非ご注目ください。
   (各グループの成果発表内容については、後日改めて詳細にご報告します。)