近世の文学
近世は、17世紀初頭から19世紀後半までの約270年間を指します。それまでの写本の時代から刊本の時代へと移ったこと(出版文化の普及)が最大の特徴です。文学の享受層は多岐に及んで大衆化し、漢詩・和歌といった伝統的な雅文学から俳諧・小説・芸能などの俗文学に至るまで、多彩に展開しました。前期は上方中心、徐々に文運東漸して、後期は江戸が中心となりました。
江戸中期の文学
宝永頃から天明あたりまで(1704~1789)、おおむね18世紀を「中期」と捉えます。宝暦・明和(1751~1772)を境として文化の中心が上方から江戸へと移り(文運東漸)、双方の地で多様な文芸が展開しました。本居宣長・大田南畝・与謝蕪村・上田秋成など雅俗両面にわたって多士済々、近年ではこの18世紀こそ近世文化の最盛期とする見方も出されています。










*印は推定。年紀は成立年を示したが近世の一部の書目は刊年を示したものもある。