中世の文学
中世は、12世紀末から16世紀までの約400年間を指します。それまで権力を握っていた貴族や寺社勢力に加え、新たに武士が力を伸ばした時代です。政治の実権が武士へ移行した鎌倉時代に始まり、天皇が巻き返しを図り混迷した南北朝時代、再び武家の政権となった室町時代を経て、下克上の安土桃山時代に至るまで、不安定な政局と度重なる戦さは文学にも多大な影響を与えました。
鎌倉・南北朝時代の文学
文治元年(1185)、鎌倉に幕府が開かれると、東国は存在感を増し、文学にも影響を及ぼします。地方や民衆を描いた説話文学が発展し、旅を素材とした紀行文学も生まれました。戦乱は、京の文化を地方に広げるとともに、現実社会への批判や歴史への関心を高め、軍記や史論が盛んに作られます。不安な日常から人々は救いを求め、仏の教えを説いた法語や無常観を根底とした隠遁者の文学が誕生します。










*印は推定。年紀は成立年を示したが近世の一部の書目は刊年を示したものもある。