中古の文学

文学史では、平安時代を「中古」と呼びます。都が平安京に遷ってから、鎌倉幕府が成立するまでの約400年間で、ほぼ100年ごとに、初期・中期・後期・末期(院政期)に分けるのが一般的です。この時代は、天皇を中心とする貴族階級の人々が文学の主要な担い手でした。政治のおおよその形態により、天皇親政の初期、摂関政治の中期~後期、院政期に区分して、文学の変遷を見て行きます。

平安時代中期~後期の文学

醍醐天皇の昌泰年間(898~900)頃から、11世紀の末頃までの、約200年間の文学。『古今和歌集』の撰集を機に和歌が公的な位置を確立し、物語文学の代表作『源氏物語』が書かれるなど、王朝文学の最盛期と言える時代です。日記や随筆、軍記といった新たなジャンルも登場しました。和歌・物語・日記が盛んになった背景に、平仮名の普及があったことも忘れることはできません。

*印は推定。年紀は成立年を示したが近世の一部の書目は刊年を示したものもある。