ヴァーチャル展示

和書のさまざま

 

 

第一部 本を形づくるもの

 

 

T  装 訂 

 

巻子本(かんすぼん)  

巻物ともいう。軸に絹や紙を巻きつけた古い形の本。

閲読に不便なので、折本・冊子本へと発展していった。

【例】三十六歌仙絵巻  画像

 

 

折本(おりほん)   

帖装本ともいい、横に長くつなぎ合わせた紙を一定の幅で折り畳み、

前後に表紙をつけたもの。経典や習字手本などに多く用いられる。

また古筆鑑や画帖などの折帖仕立て(画帖仕立て)も折本の一つ。

【例】集古帖(寛政七年刊) 画像

【例】奈良絵豆扇面絵  画像

 

                       

旋風葉(せんぷうよう)  

折本の表紙の片端をつないだもの。

【例】狂歌卯の巻  画像

【例】武家沿革図考  画像

 

 

粘葉装(でっちょうそう)  

二つ折りにした料紙を重ね合わせ、折目の部分を糊付けしたもの。

【例】一行禅師字母表白  画像

 

 

列帖装(れっちょうそう/れつじょうそう)  

数枚の料紙を半分に折って一括りとし、

数括りの折目の部分を糸で綴じ合わせたもの。

綴葉装(てつようそう)とも呼ばれる。

【例】古今和歌集  画像

【例】長秋詠藻  画像

【例】鎌倉中書王御歌(宗尊親王三百首和歌)  画像

 

 

 

折紙列帖(おりがみれっちょう) 

料紙をまず二つに折り、その折目を下端にした列帖装。

【例】八雲神詠和歌三神大極秘口訣(寛政三年写)  画像

 

 

結び綴(むすびとじ)  

表紙の上から結び綴じにしたもの。歌書などの装訂に見られる。

大和綴(やまととじ)ともいう。

【例】伊勢物語  画像

 

 

袋綴(ふくろとじ)   

二つ折りにした料紙を重ね合わせ、折目の反対側を綴じたもの。

下綴したあと表紙を付け、糸で綴じる。

江戸時代以降の和書の代表的装訂である。

【例】朝風集  画像

【例】世間胸算用(元禄一二年刊)  画像

 

仮綴(かりとじ)   

共紙の表紙により、仮に綴じたもの。

【例】自讃歌  画像 

 

 

紙釘装(していそう)  

紙を重ねて綴じる側に穴を開け、太めのこよりを通して固定したもの。

袋綴などの下綴じにも用いる。

【例】長恨歌  画像                  

 

 

包背装(ほうはいそう)   

右端二箇所を下綴し、表紙でくるんで背を糊付けしたもの。

【例】三体詩抄(寛永元年写)  画像

  

 

◆ 参考 ◆ 

ほかに、康煕綴(こうきとじ/袋綴本で、綴じ目が六つのもの)、

朝鮮綴(ちょうせんとじ/袋綴本で、鮮やかな綴じ糸を用い、

綴じ目が五つのもの)などの装訂もある。

 

 

 

U  書 型 

 

大本(おおほん)   

美濃判本(みのばんぼん)ともいう。

美濃判紙二つ折りの大きさ(ほぼ、現在のB4判二つ折り

=B5判に相当)の本。

これより大型のものは特大本という。

【例】吾吟我集   画像

 

 

中本(ちゅうほん)   

大本の半分の大きさの本。

【例】東海道中膝栗毛  画像

 

 

半紙本(はんしぼん)  

半紙二つ折りの大きさの本。

【例】絵本吾嬬鏡  画像

 

 

小本(こほん)   

半紙本の半分の大きさの本。

これより小型のものは、特小本などという。

【例】傾城買四十八手  画像

 

 

特大本(とくだいぼん)  

大本より大型の本。

【例】御手鑑  画像

 

 

特小本(とくしょうぼん)  

小本より小型の本。豆本・袖珍本などともいう。

【例】伊勢物語・千載和歌集  画像

 

 

枡形本(ますがたぼん)  

ほぼ正方形の本。

【例】未来記并雨中吟抄  画像

【例】金剛界発恵鈔(応長元年写)  画像

 

 

横本(よこほん)   

縦より横が長い本。

【例】大工雛形(享保二年刊)  画像

 

A「横中本」

【例】本朝書籍目録  画像

 

B「横小本」

【例】みちしるべ  画像

 

 

懐中本(かいちゅうぼん)  

着物の袖や懐に収まるような、細長い横型の本。

【例】諸国道中旅日記(安政三年刊)  画像

 

 

縦長本(たてながぼん)  

縦の長さが特に長い本。清朝の唐本や朝鮮本に多い。

【例】異名分類抄(寛政五年刊)  画像

 

 

 

V  本の各部

 

表紙   

時代により様々な意匠が施され、豪華な金襴の布表紙から、

紙表紙でも紺地に金泥のもの、紗綾形・竜紋・行成表紙、

あるいは、丹(朱)・栗皮色等の単色のものまで実に多様であり、

江戸後期には美麗な刷付け表紙も出された。

A「金襴表紙」

【例】新古今和歌集  画像

 

B「紺地金泥表紙」

【例】古今口伝秘抄  画像

【例】和漢朗詠集  画像

 

C「栗皮色表紙」

【例】中華若木詩抄(正保四年刊)  画像

 

D「丹表紙」

【例】甲陽軍艦  画像

 

E「刷付け表紙」

【例】妖狐天網島(天保三年刊)  画像

【例】花兄魁草紙(天保六年刊)  画像

 

 

書袋(しょたい)   

江戸後期には書物の多くは紙製の袋に入れて発売された。

【例】時代加々見(慶応四年刊)  画像

 

 

外題(げだい)   

表紙に記された書名を外題という。

A「直書き(じかがき)」

【例】しのびね物語  画像

 

B「題簽(だいせん)」

表紙に貼付され、書名を記してある紙片を題簽という。

【例】能の本  画像

【例】源重之女集(重之子僧集ほか)  画像

【例】夢遊集  画像

 

C「絵題簽(えだいせん)」

江戸後期の草双紙には、絵を入れた題簽が行われた。絵外題ともいう。

【例】唯頼大悲智慧話  画像

 

 

内題(ないだい)   

外題に対し、本の内側に書かれた書名を内題といい、

見返題・扉題・序題・目録題・巻首題・柱刻題・跋題・尾題など

があるが、巻首題を内題と称することが多い。

なお、一つの本の中でも、外題と内題が一致しない

場合がある。

A「見返題(みかえしだい)」

【例】地口絵手本  画像

 

B「扉題(とびらだい)」

【例】一言芳談(元禄二年刊)  画像

 

C「序題(じょだい)」

     【例】椿説弓張月  画像

D「目録題(もくろくだい)」

【例】椿説弓張月  画像

※ 序題=「為朝外伝弓張月」

目録題=「鎮西八郎為朝外伝椿説弓張月」

外題・柱刻題・尾題=「椿説弓張月」

 

E「巻首題(かんしゅだい)」

【例】内裏雛  画像

F「柱刻題(ちゅうこくだい)」

版の中央折目の部分を版心という。

書名と丁付けを刷り込むことが多いが、これを柱刻といい、

題を柱刻題・柱書という。

【例】内裏雛  画像

※ 巻首題=「内裏雛」

         柱刻題=「京の花」

         外題・目録題=「山城名所寺社物語」

 

G「尾題(びだい)」

【例】古今和歌集遠鏡  画像

※ 尾題「遠鏡」「遠かゞみ」「とほかゞみ」

         外題「古今集遠鏡」

         巻首題「古今集遠鏡」「古今和歌集鏡」

 

H「跋題(ばつだい)」

【例】北窓瑣談(文政一二年刊)  画像

 

 

奥書(おくがき)   

書写者などが巻末にその本の伝来等について記したもの。

【例】伊勢物語(永正六年奥書)  画像

【例】源氏物語切紙(文明十三年・享保七年奥書)  画像

 

 

刊記(かんき)   

巻末に刊年・書肆名を記したもの。

【例】当世下手談義(宝暦二年刊)  画像

【例】徒然草  画像

        ※ 寛永頃(一六二四〜四四)の無刊記本 

→次項参照

【例】徒然草  画像

          ※ 前例の系統の覆せ彫り(既成の版木をもとに復刻したもの)。

新たに匡郭を付け、巻末の刊記を記している。

 

 

朱注(しゅちゅう)   

他本との校異や語注などを朱で注記したもの。

【例】後拾遺和歌集  画像   

【例】九暦  画像

 

 

貼紙(はりがみ)

【例】古今要覧稿  画像

 

 

蔵書印(ぞうしょいん)  

所蔵を表すために捺した印。その本の伝来・素姓を知る上で役立つ。

【例】歌林良材(慶安四年刊)  画像

        ※ 「田安府芸台印」・「献英楼図書記」(田安家)

【例】源氏年立図  画像

※ 「椎本文庫」・唐獅子図(橘守部)

【例】列仙伝  画像

        ※ 「西荘文庫」(小津桂窓)

 

 

紙背(しはい)   

古くは紙が貴重だったので、手紙などに用いた紙の裏、すなわち

紙背を利用して写本を作ることがあった。

結果的に、貴重な文書が書物の紙の裏に残ることがあり、

これを、紙背文書と呼ぶ。

【例】勝語集  画像

※ 本書は永仁元年(一二九三)写の奥書と、

徳治二年(一三〇七)の識語がある。

紙背文書はほぼその直前ころのものと見られ、

鎌倉後期の史料として貴重なものである。

 

 

 

W  紙 質

 

鳥の子(とりのこ)  

斐紙(ひし)。紙質緊密で光沢あり、鶏卵のような淡褐色を呈するので、

この名がある。雁皮紙(がんぴし)とも。

【例】詞花和歌集  画像

【例】拾遺愚草  画像

 

 

薄様(うすよう)   

斐紙(ひし)を薄く漉いたものを特に薄様と称す。

【例】神楽譜  画像

 

 

楮紙(ちょし)   

楮(こうぞ)の繊維で製したもの。

我が国の書物の材料としてはもっとも代表的なものである。

【例】和歌秘録  画像

【例】水鏡 (古活字版)  画像

 

 

交漉(まぜすき)   

斐紙(ひし)と楮(こうぞ)とを交漉にしたもの。

【例】住吉物語  画像

 

 

漉返(すきかえし)   

反古紙を再び漉き返して作る薄墨色の紙。紙質は粗悪。

【例】敵討安達太郎山  画像

 

 

三椏(みつまた) 

江戸時代末期以降、広く行われた。

楮紙(ちょし)よりなめらかな良質紙である。

【例】ひなつくば・誹学校  画像

 

 

LastUpDate 2002/7/26

 

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