ヴァーチャル展示

和書のさまざま

 

 

 

第一部 

本を形づくるもの

 

書名に下線が付いているものをクリックすると画像が見られます

 

 

 A  装 訂 

書物の製本の仕方を装訂〈そうてい〉と言います。「装丁」「装幀」と書かれることもありますが、「まとめる」「きちんとする」という意の「訂」を用い、「装訂」と表記するのが妥当とされています。

 

巻子本〈かんすぼん〉 

料紙〈りょうし〉の端裏と端表を貼り合わせて継ぎ、末端に軸を付けて巻き込んだ本。巻首には、表紙と巻き紐が付けられます。単位は「軸〈じく〉」で、一軸、二軸…と数えます。巻物〈まきもの〉とも呼ばれます。繙読するのに不便なため、冊子体の本や折本に改装されることもありました。また逆に、冊子体の本が巻子本に改装されることもまま行われました。

 《1》三十六人歌合[ヨ1-105]

 《2》河海抄[ヨ1-7]

                             

折本〈おりほん〉 

料紙の端裏と端表を貼り合わせて継ぎ、一定の幅で折り畳んで、前後それぞれに表紙をつけた本。単位は「帖〈じょう〉」で、一帖、二帖…と数えます。帖装本〈じょうそうぼん〉とも呼ばれます。

 《3》金剛般若波羅密経[ワ3-65]

 

旋風葉〈せんぷうよう〉 

折本の表表紙〈おもてびょうし〉と裏表紙〈うらびょうし〉とをつないだ本。折本の弱さを改良した形態と考えられます。単位は「帖〈じょう〉」。開いたとき各葉がつむじ風に翻るように見えることからこの名があります。

 

折帖仕立〈おりじょうじたて〉 

谷折りにした料紙を重ね、その端裏と端裏を糊付けして継いだ本(折本とは、料紙の貼り合わせ方が異なります)。裏面は使用できません。古筆手鑑〈こひつてかがみ〉や法帖〈ほうじょう〉(金石文の拓本を帖にしたもの)などに見られる装訂です。単位は「帖〈じょう〉」。

 《4》集古帖[ヤ8-61-1〜7]

 

画帖装〈がじょうそう〉 

折帖仕立と同様の作りで、その背を表紙で覆った本。絵を見開きで鑑賞するのに向き、近世後期に普及しました。通常、版本に見られます。単位は「帖〈じょう〉」。

 《5》潮干のつと(寛政元年刊)[ナ2-385]

 

粘葉装〈でっちょうそう〉 

料紙を二つに折って重ね、その折目の外側どうしを糊付けして、背を表紙で覆った本。完全に開く見開きと、糊付け部分までしか開かない見開きとが、交互に現れます。単位は「帖〈じょう〉」。特に、仏書、古写本に多く見られる装訂です。

 《6》極無自性勘文[高乗勲文庫]

 《複製》斎宮女御集[シ2-141]

 

列帖装〈れつじょうそう/れっちょうそう〉 

料紙を数枚〜一〇枚ほど重ねてから二つ折りにし(これを一くくりという)、数くくりを重ね、折目の部分に穴を開けて糸で綴じ、表紙を付けた本。両面書写が可能なので、通常、料紙は、厚手の鳥の子紙が用いられます。歌書や物語の古写本に多く見られる装訂です。綴葉装〈てつようそう/てっちょうそう〉とも呼ばれます。単位は「帖〈じょう〉」。 

《7》古今和歌集[サ2-31]

 《8》和漢朗詠集[サ1-2-1〜2]       

 《複製》入道右大臣集[シ2-151]

 

双葉列帖装〈そうようれつじょうそう〉 

料紙を二つに折り、さらにその折目を下端にして二つに折り、列帖装に仕立てた本。両面書写に不向きな薄い楮紙を用いながら、かつ見栄えのよい列帖装にするために、こうした装訂がなされたと目されます。装訂が終わってから書き記されるため、日記などの帳面として用いられることもあります。折紙列帖装〈おりがみれつじょうそう〉・折紙綴葉装〈おりがみてつようそう〉とも呼ばれます。単位は「帖〈じょう〉」。

 《9》伊勢物語髄脳[高乗勲文庫]

 《10》八雲神詠和歌三神大極秘口訣(寛政三年写)[12-182]

 

 

袋綴〈ふくろとじ〉 

二つ折りにした料紙を重ね、折目の反対側を綴じた本。仮綴をした後、表紙を付け、糸で綴じます。両面書写に向かない薄い楮紙の写本や、古活字版・整版は、多く、袋綴にされました。和書の代表的な装訂です。単位は「冊〈さつ〉」で、一冊、二冊…と数えます。

 《11》とりかへばや[12-614]

 《12》英草紙(寛延二年刊)

 

紙釘装〈していそう〉 

重ねた料紙の右側に穴を開け、太めのこよりを通し、こよりのはみ出した部分を叩いてつぶして固定する綴じ方。袋綴本の仮綴として用いられました。

 《13》長恨歌[ワ3-99]

 

包背装〈ほうはいそう〉 

仮綴をした袋綴本などの表裏を、一枚の表紙でくるみ、背を糊付けする装訂。くるみ表紙・包み表紙とも呼ばれます。

 《14》三体詩抄(寛永元年写)[ワ9-41]

 

結び綴〈むすびとじ〉 

表紙の右端から一aくらいの所に穴を開け、紐や糸を通して結ぶ綴じ方。列帖装や袋綴本を綴じる方法の一つです。配り本などの装訂に多く用いられました。大和綴〈やまととじ〉とも呼ばれます。

 《15》伊勢物語[12-398]

 

 

▼綴じ方のいろいろ▼

四つ目綴〈よつめとじ〉 

糸を用いて綴じる本の代表的な綴じ方です。室町前期以後に主流となった綴じ方といわれています。明朝綴〈みんちょうとじ〉・四針眼訂法〈ししんがんていほう〉とも呼ばれます。

 

康煕綴〈こうきとじ〉 

袋綴本で、綴じ穴が六つのもの。中国清代の康煕年間に流行したので、この名があります。六針眼訂法〈ろくしんがんていほう〉とも呼ばれます。

 《16》百名家書画帖[ヤ8-109]

 

朝鮮綴〈ちょうせんとじ〉 

袋綴本で、綴じ穴が五つのもの。朝鮮刊本など大型の本に用いられました。五針眼訂法〈ごしんがんていほう〉とも呼ばれます。

 《17》釈迦の本地[タ4-58]

 

仮綴〈かりとじ〉 

きちんとした表紙を付けずに、本文の料紙だけを綴じたもの。草稿や雑記などに多く見られます。

 《18》自讃歌[ア2-23]

 

 

 

                                                           

 B  書 型   

 

大本〈おおほん〉 

美濃判〈みのばん〉の紙を二つ折りにした大きさ(B5判大学ノートサイズ)の本。美濃判本とも呼ばれます。

 《19》吾吟我集[ナ2-398]

 

中本〈ちゅうほん〉 

大本の半分の大きさの本。

 《20》東海道中膝栗毛[ナ4-61]

 

半紙本〈はんしぼん〉 

半紙を二つ折りにした大きさの本。

 《21》絵本吾嬬鏡[ヤ6-186]

 

小本〈こほん〉 

半紙本の半分の大きさの本。

 《22》傾城買四十八手[ナ4-309]

 

特大本〈とくおおほん〉 

大本より大型の本。

 《23》舞の本(幸若歌謡集)[ラ1-10]

 

特小本〈とくこほん〉 

小本より小型の本。豆本〈まめほん〉・寸珍本〈すんちんぼん〉・袖珍本〈しゅうちんぼん〉とも呼ばれます。

 《24》伊勢物語[12-418]

《25》絵本為朝一代記[ラ6-81](→《24》画像参照)

 

▼参考▼『絵入源氏』三種の比較

 《26》絵入源氏(承応三年版 大本)[サ4-26]

 《27》絵入源氏(万治三年版 横本)[サ4-1]

 《28》絵入源氏(無刊記小本)[サ4-33]

 

 

枡形本〈ますがたぼん〉 

ほぼ正方形(枡の形)の本。六つ半本とも呼ばれます。中世までの列帖装の歌集・物語に多く見られます。

 《29》未来記并雨中吟抄[タ2-10]

 《30》阿仏のふみ[タ5-128]

 

横本〈よこほん〉 

縦より横が長い本。

 《31》大工雛形(享保二年刊)[ヤ9-155]

 

 ▽横中本〈よこちゅうほん〉

  《32》本朝書籍目録[ヤ0-15]

 

 ▽横小本〈よここほん〉

   《33》みちしるべ[ヤ6-180](→《32》画像参照)

 

 ▽懐中本〈かいちゅうぼん〉 

袖や懐に収まる、細長い横型の本。

   《34》諸国道中旅日記(安政三年刊)[ラ8-19](→《32》画像参照)

 

 

縦長本〈たてながぼん〉 

大本や半紙本と比べ、横の長さが特に短い本。清朝の唐本や朝鮮本に多く、日本でも、寛永頃から、中華趣味の内容を持つ本に、この書型が用いられました。

 《35》異名分類抄(寛政五年刊)[マ4-2]

 

 

 

                                                            

 C  本 の 各 部   

 

表紙〈ひょうし〉 

裂表紙〈きれびょうし〉(布表紙)と紙表紙〈かみびょうし〉とがあります。本を保護するためだけでなく、意匠としての意味も持っていました。美麗な裂表紙には、錦・繍〈ぬいとり〉・緞子〈どんす〉などが用いられました。また、紙表紙でも、丹色や栗皮色のもの、紺地に金泥を施したものなど、実に多様です。江戸後期には美麗な錦絵を印刷した刷付け表紙も出されました。

 

 ▽金襴表紙〈きんらんびょうし〉

  《36》新古今和歌集[タ2-15]

 

 ▽紺地金泥表紙〈こんじきんでいびょうし〉

   《37》古今口伝秘抄[12-161]

  《38》和漢朗詠集[サ1-2]

 

 ▽丹表紙〈たんびょうし〉

   《39》元亨釈書[ヤ1-178]

 

 ▽栗皮色表紙〈くりかわいろびょうし〉

  《40》中華若木詩抄(正保四年刊)[タ8-4]

 

 ▽丁子引き表紙〈ちょうじびきびょうし〉

   《41》六帖詠草[ナ2-379]

 

 ▽雲母刷り表紙〈きらずりびょうし〉

   《42》源氏物語 行幸巻(伝嵯峨本)[サ4-73]

 

 ▽刷付け表紙〈すりつけびょうし〉 

合巻などの表紙全面に錦絵を刷りだした表紙。

   《43》妖狐天網島(天保三年刊)[ナ4-404-1〜3]

     《44》花兄魁綴紙(天保六年刊)[ナ4-404-13〜15]

 

 

書袋〈しょたい〉 

本を入れるための紙の袋。江戸後期、本を店頭に並べて発売する際に用いられました。

 《45》時代加々見(慶応四年刊)[ナ4-40]

 《46》花裘狐草紙(文久元〜三年刊)[ナ4-393-1〜6]

 

 

外題〈げだい〉 

表紙に記されている書名のこと。

 

 ▽直書き〈じかがき〉・打付書き〈うちつけがき〉 

表紙に直接、肉筆の墨書で書名や巻数を書いたもの。

  《47》しのびね物語[12-616]

 

 ▽題簽〈だいせん〉 

書名や巻数などを記した紙片で、表紙の左上や中央に貼り付けたもの。通常、写本には、墨書した書き題簽、版本には、印刷した刷り題簽が用いられました。

   《48》源氏物語(嫁入り本)

   《49》能の本[タ7-18]

   《50》源重之女集(重之子僧集ほか)[12-287]

   《51》大字絵入 徒然草[タ5-8]

 

 ▽絵題簽〈えだいせん〉 

書名のほかに絵を入れた題簽。絵外題とも呼びます。江戸時代の絵入小説に多く用いられました。

   《52》唯頼大悲智慧話[ナ4-297]

   《53》天道大福帳[ナ4-398-1〜3]

 

 

内題〈ないだい〉 

外題に対し、本の内側に書かれた書名を内題と呼びます。左記のようにさまざまな種類がありますが、通常、巻首題を内題と呼びます。成立や出版の事情で、一つの本の中でも、外題と内題、各種の内題が一致しない場合があります。

 

 ▽見返題〈みかえしだい〉

   《54》両顔忍夜桜[ナ4-404-6〜9]

 

 ▽扉題〈とびらだい〉

   《55》一言芳談(元禄二年刊)[ヤ4-22]

 

 ▽序題〈じょだい〉

 

 ▽目録題〈もくろくだい〉

   《56》椿説弓張月[ナ4-218]

   ※序題「為朝外伝弓張月」、目録題「鎮西八郎為朝外伝椿説弓張月」、外題・柱題・尾題「椿説弓張月」

 

 ▽巻首題〈かんしゅだい〉

 

 ▽柱題〈はしらだい〉 

袋綴本の版心〈はんしん〉(折目を中心とした1・2aの幅)に、書名を刷ったもの。

   《57》内裏雛[ヤ6-31]

   ※巻首題「内裏雛」、柱題「京の花」、外題・目録題「山城名所寺社物語」。

 

 ▽尾題〈びだい〉

   《58》古今和歌集遠鏡[サ2-4]

   ※尾題「遠鏡」「遠かゞみ」「とほかゞみ」、外題「古今集遠鏡」、巻首題「古今集遠鏡」「古今和歌集遠鏡」。

 

 ▽跋題〈ばつだい〉

   《59》北窓瑣談(文政一二年刊)[ナ5-36]

 

 

奥書〈おくがき〉 

本文の末尾に記された文章。書写者や校合者などが、成立・書写・校合・伝来について記したものを言います。

 《60》伊勢物語(永正六年奥書)[12-401]

 

刊記〈かんき〉 

版本に、刊行年月・刊行者名・その居住地などを記したもの。通常、巻末に印刷されています。

 《61》錦繍段(寛永一八年刊)[タ8-5]

 

蔵書印〈ぞうしょいん〉 

所蔵を表すために捺した印。その本の伝来や素姓を知る上で役立ちます。

 《62》類字名所和歌集[ナ2-356]

 ※「宝玲文庫」(フランク・ホーレー氏)・「加持井御文庫」(梶井宮家)

 

蔵書票〈ぞうしょひょう〉 

表紙や見返しなどに貼付した小紙片で、所蔵者名・紋章・語句などを印刷したもの。

 《63》古今和歌集(安永九年刊)[サ2-73]

※「へうしをひらくに第一と/第二のゆびもてあけよ/かみをあくるも然すべし/すでによみたるさかひに/をりめつくることなかれ」

 

付箋〈ふせん〉 

疑問箇所や注意部分に貼付される小紙片で、注釈・典拠などを記したもの。紙片の上端部に糊が付けてあります。なお、紙片全体を糊付けしたものは、押紙〈おうし〉と呼びます。

 《64》古今要覧稿[ヤ9-159]

 

朱書き〈しゅがき〉 

校異・訂正・訓点・出典・注釈などを朱で書いたもの。「朱書〈しゅしょ〉」とも言います。

 《65》後拾遺和歌集[12-240]

 

紙背〈しはい〉 

古くは紙が貴重だったので、手紙などに用いた紙の裏(紙背)を利用して本を作ることがありました。結果的に、紙背文書として、貴重な資料が残存することがあります。

 《66》勝語集[ヤ4-49]

 ※本書には、永仁元年(1293)写の奥書と、徳治二年(1307)の識語があります。紙背にある文書はその直前のものと考えられます。

 

 

 

                                                           

 D  料 紙     

 

斐紙〈ひし〉 

雁皮紙〈がんぴし〉とも呼びます。緊密で光沢があり、丈夫です。両面書写に適するので、列帖装の歌書や物語などに多く見られます。斐紙のうち、特に、鶏卵のような淡黄色・黄褐色を呈する厚様〈あつよう〉の料紙を鳥の子〈とりのこ〉と言います。

 《67》拾遺愚草[タ2-133]

 《68》新後拾遺和歌集[タ2-47]

 

薄様〈うすよう〉 

斐紙を薄く漉いた料紙。

 《69》神楽譜[12-9]

 

楮紙〈ちょし〉 

楮〈こうぞ〉の繊維で製した料紙。日本の本の材料としてはもっとも代表的なものです。このうち、厚手できめの細かい白色のものを奉書紙〈ほうしょがみ〉、厚手で縮緬のような皺のあるものを檀紙〈だんし〉と呼びます。

 《70》和歌秘録[12-183]

 《71》水鏡(古活字版)[タ4-25]

 

斐楮交漉紙〈ひちょまぜすきがみ〉 

斐紙が高価であるため、それに楮を交ぜて漉いた料紙。

 《72》古今序註(天文一五年写)

 

間似合紙〈まにあいがみ〉 

斐楮交漉紙に石粉や泥土などを混入して加工した料紙。

 《73》細川重賢公他百韻付句[ナ2-419]

 

宿紙〈しゅくし〉・漉返〈すきかえし〉

反故紙を再び漉き返して作った薄墨色の料紙。紙質は粗悪です。

 《74》敵討安達太郎山[ナ4-142]

 

三椏紙〈みつまたがみ〉 

三椏を原料として漉いた料紙。楮紙より薄く弱いものの、繊維が目立たず白く滑らかな良質紙であるため、斐紙の代用としても使われました。幕末期に広く普及しました。

 《75》ひなつくば・誹学校[ナ3-14]

 

 

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LastUpDate 2003/10/31

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