今月の一冊
2008年11月

源氏物語団扇画帖・蜻蛉巻
〈げんじものがたりうちわがじょう〉



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【 解題 】
[当館請求記号99-12]
書誌解説は、8月・9月・10月の「今月の1冊」を参照。

本 画帖に収められる絵のうち20枚近くは、場面選択や構図・配置の点で、徳川美術館蔵土佐光則筆『源氏物語画帖』および出光美術館蔵伝土佐光元筆『源氏物語 画帖』ときわめて近似している。本画帖の制作に土佐光則系の画家がかかわったか、もしくは光則の粉本が用いられたことを表していると考えられる。
(解説は、来月につづく。)

今回画像として掲出したのは、「蜻蛉」巻の一図である。
場所は六条院の東南の町。季節は秋。薫27歳。
明石の中宮とその女房たちが六条院の春の殿に集うている折、薫は、憧れの女一の宮の姿をかいま見たいと思い、やって来る。薫は、東の渡殿の妻戸の前で、老練な女房(弁のおもと)と冗談を言い合う。
女房の前に硯箱の蓋が置かれ、その中に萩や薄が盛られているが、物語本文によれば、女郎花であるべきところ。庭には、萩が咲いている。襖障子には、雪のかかった紅梅が描かれている。

構図・配置など、徳川美術館蔵土佐光則筆『源氏物語画帖』・出光美術館蔵伝土佐光元筆『源氏物語画帖』に近似する。あまたの源氏絵の中でこの場面を絵画化するものは、きわめて稀である。

※本画帖については、当館基幹研究「源氏物語再生のための原典資料研究」のメンバーが分析を重ね、10月に開催された源氏物語特別展において初公開した。詳細は、展示図録を参照。


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