今月の一冊
2008年10月

源氏物語団扇画帖・関屋巻
〈げんじものがたりうちわがじょう〉



(回線の種類によっては、ダウンロードに時間が掛かることがあります。)

【 解題 】
[当館請求記号99-12]
書誌解説は、8月・9月の「今月の1冊」を参照。

本画帖には、次のような順序で、計54枚の絵が貼られている。
1東屋、2帚木、3空蝉、4夕顔、5若紫、6蜻蛉、7少女、8花宴、9葵、10賢木、11花散里、12須磨、13明石、14蛍、15 蓬生、16関屋、17絵合、18末摘花、19薄雲、20朝顔、21行幸、22玉鬘、23早蕨、24御法、25夕顔、26野分、27匂宮、28手習、29篝火、30藤袴、31空蝉、32梅枝、33夢浮橋、34初音、35若菜上、36幻、37横笛、38鈴虫、39夕霧、40花宴、41紅葉賀、42帚木、43紅梅、44野分、45橋姫、46藤裏葉、47松風、48椎本、49竹河、50若菜下、51澪標、52常夏、53宿木、54若紫
すなわち、
A)54枚の絵が、『源氏物語』の巻順通りに貼られていない。 B)54枚の絵のうち、帚木・空蝉・夕顔・若紫・花宴・野分巻の絵が2枚ずつ存在し、一方、桐壺・胡蝶・真木柱・柏木・総角・浮舟巻の絵が1枚も存在しない。 D)詞書が、1枚も存在しない。 以上の点から、次のような推定が可能となる。すなわち、もともと54枚以上(60枚?)制作された源氏絵のうち、一部(6枚?)が散佚(あるいは未制作)という状態になり、それを、後の人が、当て推量でこの手鑑に貼り込んでいった、と考えられよう。 (解説は、来月につづく。)

今回画像として掲出したのは、「関屋」巻の一図である。 場所は逢坂の関屋。季節は秋。光源氏29歳。 空蝉の夫(常陸の介)が任期を終えて上京する途次、逢坂の関屋あたりで、一行は、石山寺へ参詣に出かけた光源氏と出会う。空蝉の一行は、光源氏の車を避けるためもあって、関山で車から下りてやり過ごす。 光源氏が載る牛車を先導するのは、右衛門の佐(かつての小君)。画面奥にいるのが空蝉一行。画面奥には、逢坂の山々と、逢坂の関、杉、紅葉。手前には、菊・女郎花が咲いている。左上には、琵琶湖が臨まれ、帆掛け船が浮かぶ。

※本画帖については、当館基幹研究「源氏物語再生のための原典資料研究」のメンバーが分析を重ねている。10月に開催する源氏物語特別展において、初公開・初解説を行う予定。



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