今月の一冊
2007年12月

古活字版 阿弥陀胸割
〈こかつじばん あみだのむねわり〉



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【 解題 】
[当館請求記号99・91]
慶長(1596-1614)〜元和(1615-1623)頃刊
大本1冊
27・1×19・1センチ
改装渋引表紙
外題・内題なし
古活字・漢字平仮名植版本
1面10行、挿絵片面11図
無刊記

古浄瑠璃〈こじょうるり〉・説経〈せっきょう〉の双方において、極めて有名な作品の一つ。
魔道に落とされた長者夫婦の遺児(姉姫と弟君)は、身を売って生きてゆこうとするも叶わず、阿弥陀の告げによって大満長者のもとに行く。そこには、不治の病に苦しむ12歳の松若がおり、同年の姫君の生肝を必要としているという。姉姫・弟君は、両親供養の堂建立・阿弥陀三尊安置を条件に、生肝の提供を泣く泣く承諾する。松若の病気はこれによって平癒。人々が阿弥陀堂に行くと、姉姫・弟君は眠っており、傍らには、胸を裂き生肝を抜いた(姉姫の身代わりになった)阿弥陀が倒れていた。……というお話。

本書は、本作品の諸伝本の内、最古の刊本資料である。
また、その内容については、浄瑠璃と説経の未分化の様相を伝えるものと判定されている(『新日本古典文学大系 古浄瑠璃・説経集』参照)。
また、使用されている活字は、東京大学総合図書館所蔵 『浄瑠璃十二段草子』(A00-5800)・国立国会図書館所蔵『花鳥風月』(WA7-56)等と同一である。よって、本書の刊行は、それらとほぼ同時期、すなわち慶長末年から元和に至る慶長元和中刊本と認定することができる。上記の二本は、慶長年間における嵯峨本の国書刊行に触発されて登場した一連の書物であり、古活字刊本『阿弥陀胸割』もまた、その使用活字の一致から、嵯峨本に触発されて登場した一連の国書古活字本の内の一つとして出版史の中に位置づけを行うことができる。



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