今月の一冊
2006/11

手拭合
〈たなぐいあわせ〉



(回線の種類によっては、ダウンロードに時間が掛かることがあります。)


【 解題 】
[当館請求記号 99・99]
天明4年(1784)跋刊 1冊
中本仕立。初印本。
縹色の地に「寿」の字の型押し文様を散らした原表紙。
外題「たなくひあはせ」(剥落あり)。

「たなくひ」は手拭いのことで、大名の子弟から吉原の遊女に至る、新案のデザイン七九種を彩色刷りで列挙してある。
歌合など風流な伝統行事のパロディとして行われた催しの図録化、といったスタイルをとるが、実際に行われたかどうかは不明。

また序文等に、主催者は、京伝妹黒鳶式部(当時14歳)とされているが、実際には奥付に「画工 北尾政演」として名を連ねる山東京伝(当時24歳)が、全体の趣向・構成に関与している。出品者には正体不明の人物が多いが、若い京伝の交遊圏がうかがわれ、例えば、有名な「京伝鼻」の案者「鴨鞭蔭〈かものむちかげ〉」は、加藤千蔭(国学の師、賀茂真淵の名と自分の名を重ねる)か。

画像掲出箇所は、右から恋川好町(「校合」)・白鳳堂(「書肆」)・京伝と、本作成立の直接の関係者が並び、その左の三皋は、京伝にとって浮世絵の弟弟子、北尾政美、その裏には続いて二人の師、北尾重政が登場する。こうした滑稽図案集は、その後も京伝戯作の一系列をなすが、本作は同時に、この時期の江戸戯作の典型を示すものといって良い。



>>今月の一冊のインデックスページへ >>国文学研究資料館のトップへ