今月の一冊
2006/09

伝大炊御門信量筆 新古今集
〈でんおおいみかどのぶかずひつ しんこきんしゅう〉


(回線の種類によっては、ダウンロードに時間が掛かることがあります。)

【 解題 】
[当館請求番号 懐風弄月文庫92・41]
室町中期写
列帖装 4帖
25・8×16・9センチ
表紙は黒色地に白色花菱繋ぎ。
題簽は第1帖〜3帖にあり、第4帖にはない。
題簽は朱色地に金泥で松竹雲霞を描き、表紙中央に貼るが、外題は書かれていない。
表紙右上に「信量卿筆 書入兼良卿筆 奥書教房卿 光広卿両筆」と記した紙を貼る。
見返しは濃茶色地に金箔、金砂子を散らす。
本文料紙は厚手の鳥の子紙。虫損が甚だしく、修補の跡もある。
第1帖は9括・88丁、第2帖は7括・69丁(錯簡あり)、第3帖は6括・61丁、第4帖は9括・89丁(錯簡あり)。
第1丁オに「紅梅文庫」(前田善子)の印記がある。

第1帖の巻頭に真名序と仮名序をおく。うち仮名序には、通行と異なる異文が含まれ、それは見せ消ちで通行の本文に訂正されているが(ただしこの部分は虫損甚大)、もともと書かれた本文は、国立歴史民俗博物館蔵田中本が持つ異文と、かなりの部分が共通する。田中本の両序の異文は草稿的本文と推定されており、それが通行の本文へ次第に変わっていく過程の古写本の一つとして注目される。

第4帖の巻末に「此集奉相対禅閤/令校合之訖/文明十二年仲春下旬/左大将(花押)」とあり、更に「右本上中下大炊御門/信量公之花翰文明者/歟文明十二ゝ月左幕下/所勘公卿補任也/寛永第九季夏廿七@*/特進藤(花押)」とある。
奥書中の「禅閤」は三条実量〈さんじょうさねかず〉、「左大将」は大炊御門信量〈おおいみかどのぶかず〉か。「特進」は烏丸光広〈からすまるみつひろ〉であろう。
文明12年(1480)に66歳の実量と39歳の信量が相対してこの本に校合を加えた。故にこの本の書写はそれ以前であるが、さほどは遡らないと思われる。寛永9年(1632)に光広は、左大将を信量と見て、識語を加えたことになる。

切出歌は、1979(巻二)、1981・1982・1983(巻三)、1984・1985・264(重出)(巻四)、1986(巻五)、1130(重出、巻一三)、1990・2001(巻一六)、1992・1993(巻一八)、1995(巻二〇)の計一4首を含む。うち、1979と1995以外の12首には、歌頭に除棄記号が記されている。

*上記「@」の箇所は、くさかんむりに「冥」という文字です。(テキスト表示できない文字です。御了承ください。)

※本書を含む、懐風弄月文庫本新古今集写本の図版と解題は、人間文化研究機構連携展示図録『うたのちから─古今集・新古今集の世界─』(国文学研究資料館・2005年)に収録されています(当館2F閲覧室カウンターにて販売中)。




>>今月の一冊のインデックスページへ >>国文学研究資料館のトップへ