今月の一冊
2005/3

祝昆布 君を松前
〈よろこんぶ きみをまつまえ〉


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【 解題 】
[請求番号 ナ4-627]
安永6年(1777)刊 一冊
16.6×12.6センチ。中本。黄表紙。柱題「おつとせい」。原表紙なし。10丁。10丁裏欠。

鳥居清経〈とりいきよつね〉画。
江戸松村屋弥兵衛版。

松前の昆布漁で生け捕られたおっとせいを、雌のおっとせいが美女「おせい」に化けて救いに来る。蝦夷王が商人と蝦夷錦(サハリン経由で入った中国の絹織物ないしは絹製品)の取引をする等、北辺の話題を描く。松前藩の抜荷や上方商人のロシアとの密貿易、田沼意次〈たぬまおきつぐ〉の蝦夷地開発の風聞が創作の契機となったと思われる。

安永5年(1776)以降、草双紙の登場人物に当時の歌舞伎役者の似顔を用いる手法は、まま見られるようになった。安永6、7年(1777、1778)刊の松村版黄表紙に、題簽のみ役者似顔絵、中身は黒本のような類型的顔立ちで描かれ、外題と柱題が異なる作品群があり、本書はその一つである。題簽には、「おせい」は三代目瀬川菊之丞、おっとせいの雄が化けた「音十郎」は四代目松本幸四郎の似顔で描かれる。


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