今月の一冊
2004/4

秋篠月清集
〈あきしのげっせいしゅう〉

(回線の種類によっては、ダウンロードに時間が掛かることがあります。)

【 解題 】
[請求番号 99・78]
室町後期写 1帖

新古今集の代表的歌人で、同集の仮名序を書いた藤原良経〈りょうけい〉(後京極摂政〈ごきょうごくせっしょう〉などと通称される)の家集。
秋篠月清集(単に月清集とも)は、通常、定数歌と部類歌の2部からなり、定家本系統と教家〈のりいえ〉本系統があるが、墨付最終丁の折り込み付箋に、「本云/承久三年十月廿六日書写畢/此合点者前大僧正慈円釈阿入道両人之点也/不可有他見者也」と、教家本系統にある奥書が転記されている。
掲出本は、花月百首から後鳥羽院句題五十首まで、11種計1000首の定数歌のみで1冊をなしており、別に部類歌を収める連れがあった可能性もある。内題「式部史生秋篠月清集」。

22・5×14・9センチ。表紙は茶の渋紙薄様紙、題簽なし。折紙列帖装、料紙は楮紙、墨付74丁(前後に遊紙4丁)。1面9行、和歌は1行書き。朱・墨による合点・集付け・勝負付け等のほかに、本文の異同注記が多数あり(貼込みのものも多い)、途中に若干の歌の補入もなされるなど、書写者による数次にわたる校合の跡が見られる。
運筆から室町時代後期頃の筆と推定されるが、書写者については76丁裏と裏表紙裏に「主宣家(花押)」の識語が見られ、本書と旧蔵が同じと推定される当館蔵の天文2年写『光源氏一部連歌寄合』の筆者「成家」との関連性が指摘されている(佐々木孝浩氏)。そうだとすれば、本書も当時の連歌師たちが参考・備忘のために書写したものである可能性が高く、また六家集〈ろっかしゅう〉本月清集との書承関係も無視できない。

★参考:館報41号所載「新収資料紹介」(佐々木孝浩氏執筆)


>>今月の一冊のインデックスページへ >>国文学研究資料館のトップへ