所蔵資料紹介

伝為家筆 源氏物語(でんためいえひつ げんじものがたり)

【解題】
[当館請求記号 88・22]
鎌倉中期写
橋本進吉氏旧蔵本
六半本(枡形本)
列帖装
若紫・絵合・松風・藤袴の4帖(いずれも欠落有)
各17・8×16・8センチ

料紙は斐紙
いずれも共紙表紙(外題直書)が残存するものの、多くの丁が失われた残欠本。鎌倉期の『源氏物語』享受を考えるうえできわめて貴重な資料である。

若紫巻は、墨付65丁分、河内本に近いが、独自異文もままある。池田亀鑑「別本の呼称とその性格」(『源氏物語大成 研究篇』)・大津有一「諸本解題」(『源氏物語事典』)において「橋本博士蔵伝為家筆若紫巻」として紹介されたもの。また、島津久基『対訳源氏物語講話 若紫』においては「橋本本」としてしばしば参照されている。

絵合巻は、墨付2丁分、本文は青表紙本か。
松風巻は、墨付24丁分、本文は別本と判断しておく。
藤袴巻は、墨付12丁分、本文は別本と判断しておく。

4帖とも同形態であり、もとは54帖揃いの一部を成していたと思しく、僚巻〈ツレ〉の関係にあると認められよう。いずれにも、青表紙本を用いて校合された痕(補入・見せ消ち・擦り消し等)を有する。

上記池田論稿・大津解題によって「藤原為家筆」と言われているが、伝称筆者を示す極札などは現存していない。包み紙には「古写本源氏物語零巻」とあり、また、「脱落せる箇處」として、現存しない部分の丁数を算定したメモ(橋本進吉の手になるか?)が1枚付されている。

なお、大内英範「橋本本源氏物語について─「絵合」「松風」「藤袴」三帖の本文─」(『国文学研究資料館紀要』31号・2005年2月)に、3帖の翻刻を載せる。

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