所蔵資料紹介

擬五行尽之内 王位を望む木 大伴黒主(なぞらえごぎょうづくしのうち おういをのぞむき おおとものくろぬし)

 

【解題】
[当館請求記号 ユ3・46]
判型 大判錦絵
落款 「豊国画」
板元 恵比寿屋庄七
改印 「子八」(嘉永五年八月)
役者 五代目市川海老蔵(前七代目市川団十郎)

外題枠は寿の字海老〈じゅのじえび〉、下方に牡丹唐草〈ぼたんからくさ〉、どちらも海老蔵に因む模様。黒地の直衣〈のうし〉には、ツヤ摺〈つやずり〉で牡丹立涌〈ぼたんたてわく〉の地紋を表す。

天明4年(1784)11月江戸桐座上演歌舞伎『重重人重小町桜〈じゅうにひとえこまちざくら〉』の大切浄瑠璃〈おおぎりじょうるり〉として初演された「積恋雪関扉〈つもるこいゆきのせきのと〉」に登場する、関守関兵衛 実は大伴黒主〈おおとものくろぬし〉は、天下を望む謀反人であり、逢坂山の関を守る良峰宗貞〈よしみねのむねさだ〉の許に忍んでいる。関兵衛が天下調伏の護摩木にと、雪中に咲く小町桜を切ろうとすると、宗貞の弟と契った小町桜の精が傾城墨染と名乗って現れ、関兵衛の正体を見現して立ちまわりとなる。雪中に咲く小町桜の「木」が、重要な作品である。

黒主の天下を望む気持ち「王位を望む気」を「木」と擬えた。

海老蔵は、天保6年(1835)11月江戸中村座で、三代目尾上菊五郎の小町姫・墨染で関兵衛を演じ、大々当りを取り、同8年11月江戸河原崎座で、三代目菊五郎の墨染、二代目尾上菊次郎の小町姫で関兵衛を演じ、大出来大当りであった。

天保13年(1842)に天保改革で江戸十里四方追放となり、嘉永3年(1850) 3月に再び江戸の舞台に現れ、同年11月江戸河原崎座で、四代目尾上梅幸(後の四代目尾上菊五郎)の小町姫・墨染桜の精で関兵衛を演じ、大出来大当りであった。関兵衛は海老蔵の当り役の一つであった。

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