所蔵資料紹介

吾妻曲狂歌文庫(あずまぶりきょうかぶんこ)

【解題】
[請求記号 ナ2・392]
天明6年(1786)刊
大本 1冊
27.0×18.1センチ
赤茶色表紙。
題簽中央、「(天明新鐫/五十人一首)吾妻曲狂歌文庫 完」。
また本文1丁表に、篆書で「吾嬬曲狂歌五十人弌首」と大書する。

編者は宿屋飯盛〈やどやのめしもり〉(自序あり)、画者は「北尾伝蔵政演」(山東京伝〈さんとうきょうでん〉)、蔦屋重三郎〈つたやじゅうざぶろう〉刊。当代の狂歌師50人の図像(肖像画風も、そうでないものもある)を、各狂歌1首と共に、半丁分ずつ彩色刷りで描いた狂歌絵本。

本作は、日本古典文学大系『川柳 狂歌集』(岩波書店・昭和33年刊)に影印と共に収められている(底本は渋井清氏所蔵本)が、掲出本は、この版と奥付等は同一ながら、肖像の排列順序等にかなりの異同があり、前者を原初の形態とされる校注者の浜田義一郎氏によって、「別本」と称される種類に属する。

しかし、作者名の訂正や入れ替え、作者のランク付けに対する関係者からのクレームによると見られる排列順の変更を検討してみると、むしろ掲出本を初印と認定したほうが、合理的に説明がつくようである。

一例を挙げれば、画像掲載箇所の右側、作者名「紀定麿」が、日本古典文学大系版の写真では「紀定丸」となっており、同時に狂歌「大井川の水にまされる大晦日まるはだかでもさすがこされず」の濁点がすべて外され、仮名遣い、行の分かちも変更されている。

これは作者側からの申し入れに従ったものと考えられ、「丸」を「麿」に改める等、逆の方向に改変したとは考えにくい。

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