所蔵資料紹介

怒誰宛 芭蕉書簡(どすいあて ばしょうしょかん)

【解題】
[請求番号 99・94]
元禄7年(1694)頃
1軸
本紙15.6×52.2センチ。

冒頭2・3字分切除、また末尾の宛名・署名・日付を欠くが、上野洋三氏「再確認の芭蕉書簡」(『連歌俳諧研究』第94号)に従って、弟子の怒誰(近江膳所〈ぜぜ〉藩士、高橋喜兵衛。菅沼曲翠〈きょくすい〉の弟)宛の、芭蕉自筆書簡と認定する。

内容は、江戸の「愚庵」において、訪れた参禅の師仏頂〈ぶっちょう〉和尚から、怒誰の便りを見せられ、怒誰が病の身で禅の修行、また『荘子』の理解に励み、「大眼悟哲」に達したことを称揚、続いて膳所の人正秀〈まさひで〉の「三つ物」を賞賛する。上野氏は、この「三つ物」の件が元禄7年(1694)正月29日付の曲翠宛芭蕉書簡にも見え、紙面の印象も怒誰宛と似通っている点から、同じ時期に書かれたものと推定されており、芭蕉最晩年の筆跡を示す貴重な資料と目される。

軸装された本簡の紙背には、淡々〈たんたん〉の極め書を貼付し、軸を収めた桐箱の蓋、およびその裏面に、士朗〈しろう〉の筆で芭蕉真筆を認定する。

なお本簡は、早く士朗の『枇杷園随筆〈びわえんずいひつ〉』に紹介されながら、昭和に入って長く所在不明となっていたもの。

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