所蔵資料紹介

通俗伊蘇普物語(つうぞくいそっぷものがたり)

【解題】
[請求番号 ハ4・152]
明治6年(1873)刊 6冊
22.3×15.2センチ。整版。

渡部温〈わたべおん〉訳。
巻1から5までが Thomas James が英訳したイソップ物語からの翻訳、巻6はさらに Flyer Townsendの英訳および近世の『伊曽保物語〈いそほものがたり〉』から話柄を補う。すべて237話。口絵および挿絵は藤沢梅南〈ふじさわばいなん〉・榊篁邨〈さかきこうそん〉・河鍋暁斎〈かわなべきょうさい〉。

巻1および巻4の見返しに、それぞれ「明治五壬申官許」「明治六癸酉官許」と記されるが、新聞広告によれば出版は明治6年の春と冬に前後三冊ずつの2回。文体と挿絵の当世風が受けて明治初年の大ベストセラーとなり、教場でも広く用いられた。当館にも版本がいくつか蔵されるが、掲出本は中でも初刷にごく近いと思われ、挿絵に薄墨および色刷り(肌色・薄青)を用いる点で稀少としてよい。

渡部は、天保8年(1837)生、明治31年(1898)没、蕃書調所・開成所・沼津兵学校等にて英学を講じ、明治8年(1875)には東京外国語学校校長となった。

なお、平凡社刊『通俗伊蘇普物語』(東洋文庫693)は、掲出本の翻刻であり、本書の価値についてはその「解説」に詳しい。

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