所蔵資料紹介

伏見院御集(ふしみいんぎょしゅう)

【解題】
[請求番号 ヨ1−124]
江戸初期頃写 1軸

広沢切〈ひろさわぎれ〉の江戸初期頃の模写本。広沢切とは、伏見天皇自筆による『伏見天皇御集〈ふしみてんのうぎょしゅう〉』の断簡(巻子本もある)をさし、諸処に分蔵されている。

表紙外題欠(剥落・擦除の跡あり)、小字で「歌巻物」と墨書する。縦32センチ、各紙横約50センチ、20紙継ぎ、全長約965センチ。表紙は雲母刷唐草模様に鳳凰丸文、見返しは布目地雲母刷草花唐草に草花二重丸文。本文料紙の上下段に金銀切箔・砂子などを散らす。

総歌数117首。冒頭の3紙に書かれた17首と、その後の100首とから成り、100首は『新編国歌大観』第7巻所収『伏見院御集』の2163〜2262二番の100首(藤井真津子氏蔵『伏見院御集』)にあたる。

また巻頭の17首のうち15首は『新編国歌大観』未収であり、更にうち11首が新出資料か。また100首に関しても、藤井氏蔵自筆原本との異同や、注記(2176詞書「春日述懐」に「永仁六」と注記する)など、検討すべき点を多く含む。模写本とは言え、資料的価値は高い。

掲出したのは第2紙の6首(第7首〜第12首)で、新出歌の部分。

【翻刻】

みやこおもふ心のうちもいくしほり
ねざめのやまのまつかぜのそこ
ちぎりをく又ゆふぐれののべやいづこ
くさのまくらのあか月のつゆ


ぬるがうちの一夜のとこのうへにだに
又さめかはるゆめぞはかなき


をちかたやくもかけぶりか山もとの
ひとむらしろきあけぼのゝそら


月かけのかたふくすゑをよこぎりて
ひとすぢわたるみねのうきぐも


みづはなをせがはせきなんかへりこぬ
人のわかれぞとゞむるかたなき

所蔵資料紹介一覧のTOPへ戻る 

↑ ページの先頭へ