所蔵資料紹介

幸若歌謡集(舞の本)(こうわかかようしゅう(まいのほん))

【解題】
[請求番号ラ1-10]
江戸極初期写 1冊

36・4×25・9センチの特大本。
斐楮交漉紙〈ひちょまぜすきがみ〉袋綴、紙数11丁。

幸若舞曲の中から歌謡的部分を抜き出したいわゆる幸若歌謡集の一種で、『笈捜〈おいさがし〉』『築島〈つきしま〉』『静〈しずか〉』『大織冠〈たいしょっかん〉』『夜討曾我〈ようちそが〉』『八島〈やしま〉』『張良〈ちょうりょう〉』の7作品から抜いた12曲と、独立の祝言曲「山科〈やましな〉」「老人〈ろうじん〉」の、計14曲を収める。なおいずれも曲名は書かれていない。

幸若歌謡集は現存不明のものも含めて20数本が従来知られており、そのうちでは慶長15年(1610)および16年の幸若小八郎安信〈こうわかこはちろうやすのぶ〉節付本が最も早い。本書は慶長初年頃の書写かと思われ、それらに先立つ幸若歌謡集の最古の伝本となる。

奥書がなく素性が不明確であるが、詞章の上で大頭〈だいがしら〉系との相違が目立ち、幸若系に属すると考えられる。ただし弥次郎家本とは異なり、相対的には小八郎家系の毛利家本などと近似するものの、それらとの間にも詞章・節付ともに無視し得ない相違があり、系統についてはなお検討を要する。

冊初に「平出氏書室記」の印記があり、名古屋の蔵書家平出〈ひらで〉家の旧蔵本。

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