所蔵資料紹介

几董宛 蕪村書簡(きとうあて ぶそんしょかん)

【解題】
【 解題 】
安永9年(1780)8月頃 自筆 1軸 [請求番号 99・16]
本紙15・4×40・2センチ。文面のみ30行。

年次を示す記載はないが、他の書簡との内容的関連から、安永9年(1780)8月頃のものと推定されている。

前半は、大坂に長期滞在中の几董(蕪村の弟子)に、女流俳人「うめ」から依頼のあった刷り物と、もう1つ別の刷り物の制作についての事務連絡を行ったもの。続いて後半では大坂の芝居を話題にするが、最後の一つ書きには、「一 英子がさたは、先日五雲、慶子に逢ふて帰り候てのものがたり、いさゐ承り候。英子借金のよし、相違無之、慶子もことの外世上のさたをきのどくがり候よし也」とある。

蕪村の芝居好きは知られるが、この書簡でも、当代一流の歌舞伎役者「英子」(小川吉太郎)のかなり立ち入った噂話が、これも名優であった「慶子」(初代中村富十郎)から、俳諧仲間の「五雲」経由でもたらされており、役者と俳諧師の距離の近さがうかがえる。

【釈文】(後半のみ)
一、浪花戯場のさた、いかにも
 入はおびたゞしく有之よし、
 京にてもさたいたし、
 さぞ見らるゝところも
 多候かと推察いたし候。
 御めにかゝり、御物がたり
 承り申度候。

一、英子がさたは、先日
 五雲、慶子に逢ふて
 帰り候てのものがたり
 いさゐ承り候。英子
 借金のよし、相違
 無之、慶子もことの外
 世上のさたをきのどく
 がり候よし也。
  几董様    夜半

所蔵資料紹介一覧のTOPへ戻る 

↑ ページの先頭へ